移動販売で許可がいらないケースは? 焼き芋など、許可不要の商品を解説

キッチンカー開業
公開日:2025/03/05 更新日:2025/03/05
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近年、車を改装してさまざまな物を販売する移動販売が人気です。調理した食品を売るキッチンカーをはじめ、さまざまな種類のある移動販売ですが、許可がいらないケースはあるのでしょうか。この記事では移動販売における許可がいらないケースと、開業に必要な許可について解説します。

この記事は、こんな方におすすめです。

・許可が不要な移動販売について知りたい方
・移動販売でどんな許可が必要なのか知りたい方
・焼き芋販売で開業を考えている方
・移動販売の開業を検討している方

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許可や届出がまったく必要ない移動販売は「存在しない」

結論から言うと、どのような形態であれ、許可や届出がまったく不要な移動販売は存在しません。なぜなら、移動販売は営業する場所や販売する商品によって、必ず何らかの規制を受けるためです。ただし「許可」に限定した場合、不要になるケースはありえます。

キッチンカーに代表される移動販売に必要な許可は、大きく分けて以下の2つがあります。

営業許可

食品や調理品を販売する場合に必須で、営業地を管轄する保健所に許可を申請します。食品を安心・安全に提供するために、保健所の基準を満たした設備を備え、適切な衛生管理を行えるかどうかの審査を受けることになります。

営業許可を取得する方法や、申請手順については、以下の記事でも詳しく解説しています。

▼【2025年最新版】キッチンカーの営業許可を取得するには? 保健所への申請手順を詳しく解説

道路使用許可

公道上で物品を販売する場合に必要なのが「道路使用許可」です。各自治体の警察署で手続きを行い、通行の妨げにならないか審査されます。ただし、移動販売は「交通の妨害にならない」場合、道路使用許可は必要ないとされ、道路使用許可が不要である場合があります。

これらの許可が不要な場合でも、「営業の届出」が必要になる場合がある点に注意してください。

本記事では、例外的に営業許可が不要な移動販売の条件や、その他必要になる届出について詳しく解説していきます。移動販売の開業を検討している方は、自分が扱いたい業種が何に該当するかよく確認し、適切な手続きを踏むことが大切です。

移動販売において道路使用許可の必要ないケースは?

路上で販売業を行う際、基本的には「道路使用許可」が必要です。道路使用許可とは、公道上で営業活動を行うために、警察署長から交付される許可であり、歩行者や車両の通行を妨げないための重要な規制です。

しかし、例外的に道路使用許可を取得せずに移動販売ができるとされるケースもあります。これは、販売する商品や営業方法によって判断されます。以下に、道路使用許可が不要とされている代表的なケースを紹介します。

生花販売(移動生花店)

生花を販売する移動販売車は、一般的に道路使用許可なしで営業できます。これは、生花が食品に該当せず、衛生面での厳格な規制がないためです。また、道路上での販売が一時的であり、周囲の交通に大きな影響を与えないと判断されるケースが多いためです。

ただし、大きなスペースを占有する場合や、長時間同じ場所にとどまる場合は、管轄の警察署や自治体に確認が必要です。

雑貨販売(移動雑貨店)

衣類やアクセサリー、雑貨などの販売も、道路使用許可なしで移動販売ができる場合があります。これらの商品は、食品と違い衛生管理の規制が緩いため、許可なしでも営業しやすいのが特徴です。

ただし、販売場所によっては通行の妨げとなる可能性があるため、繁華街や人通りの多いエリアでは自治体のルールを確認することが重要です。また、食品や飲料を同時に販売する場合は、道路使用許可が必要になることもあるため注意しましょう。

道路使用許可は、移動販売において必ずしも必要な許可ではありません。移動販売を計画する際は、商品や営業スタイルによって適用されるルールが異なります。また、事前にその場所について十分な確認を行うことが大切です。

営業許可のいらない食品系の移動販売(キッチンカー)は「焼き芋」

一般的に、食品を扱う移動販売(キッチンカー)を営業するには、保健所の「営業許可」が必要です。しかし、例外として営業許可なしで販売できる食品があります。その代表的な例が「焼き芋」です。

焼き芋は、食品衛生法で定められた営業許可業種に該当しないため、保健所の許可を取得せずに販売できます。そのため、飲食関連の移動販売を始めたいけれど、営業許可の取得や設備投資のハードルを下げたい人にとって、焼き芋は魅力的な選択肢といえるでしょう。

焼き芋を割っている手元

画像素材:PIXTA


焼き芋屋を開業するのに営業許可がいらない理由

焼き芋屋は、以下の2つの理由により、営業許可が不要とされています。

■(1)営業許可業種に該当しないから

通常、食品を販売する場合は「飲食店営業」「食品製造業」「食品販売業」などの許可が必要になります。しかし、焼き芋はこれらの業種に該当しません。これは、焼き芋が「調理をほとんど必要としない食品」とみなされるためです。

焼き芋は、サツマイモを焼くだけで提供できるシンプルな食品であり、複雑な調理や加工を行わないため、保健所の規制対象外となっています。そのため、特別な営業許可を取得しなくても販売が可能なのです。

■(2)車の改造が必要ないから

焼き芋の調理工程は非常にシンプルであり、大掛かりな調理設備を必要としません。たとえば、軽トラの荷台に焼き芋機を乗せるだけで営業もできるため、キッチンカーを営業許可の基準に適合させるための改造が不要なケースが多いのも特徴です。

一方で、もし車両に特別な設備を取り付けたり、他の食品も取り扱ったりする場合は、別途営業許可が必要になるため、事前に自治体の保健所に確認することをおすすめします。

焼き芋は、営業許可なしで販売できる数少ない食品の一つです。そのため、移動販売を始めるハードルが低く、初期投資を抑えられるメリットがあります。これからキッチンカーでの販売を検討している方は、まず焼き芋屋からスタートするのも良い選択肢といえるでしょう。

営業許可がいらないメリットは?

営業許可が不要な移動販売には、さまざまなメリットがあります。特に、焼き芋屋のように営業許可を必要としない業態では、手続きの負担が軽減され、開業の手間が少ないため、初心者でも参入しやすいのが魅力です。

手続きの手間が少ない

営業許可が不要な最大のメリットは、開業までの手続きがシンプルであることです。

通常、食品系の移動販売を始めるには、保健所での営業許可申請、車両設備の基準適合、定期的な検査など、さまざまな手続きが必要になります。しかし、焼き芋屋の場合、営業許可を取得する必要がないため、こうした煩雑な申請や検査を省略でき、スムーズに開業できます。

また、営業許可をするためには設備投資が必要になるため、費用や時間がかかることもあります。その点、焼き芋屋は機材への投資と仕入れだけで比較的簡単に始められるため、副業や短期間のビジネスとしても適しています。

営業エリアを気にしなくてよい

食品販売における営業許可は、その営業地を管轄する保健所に申請します。その場合、許可を受けた特定のエリア内でしか営業できないという制約があります。営業許可は「県内一円」「都内一円」といったように有効範囲が設定されており、他の都道府県にまたがる場合、それぞれの地で営業許可を取得する必要があります。

しかし、焼き芋屋などの営業許可のいらない業種では、このようなエリアの制限を受けることなく、自由に営業場所を選択できるのが大きなメリットです。季節や天候、イベントの開催状況などに応じて柔軟に営業場所を変えることができるため、需要のあるエリアを狙って効率的に販売できるのも魅力です。

マルシェに出店する焼き芋移動販売車

ただし、焼き芋にも必要な届出がある

焼き芋屋は営業許可こそ不要ですが、全く手続きを行うことなく営業できるわけではありません。開業する際に必要な資格と届出について解説します。

食品衛生責任者の配置

食品を扱う事業者には、食品衛生責任者を1人配置する義務があります。食品衛生責任者は、食品の安全管理を徹底するための資格であり、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習(6時間程度)を受講すれば誰でも取得可能です。

特別な試験はなく、比較的容易に取得できます。また、オンラインでの受講も可能です。受講料は自治体によって異なりますが、東京都の場合12,000円となっています。

この資格は、たとえ営業許可が不要な焼き芋屋であっても、食品を販売する以上は必要となるもののため、必ず取得しておきましょう。ただし、調理免許や医師免許など一部の国家資格を有する場合、食品衛生責任者を新たに取得する必要はありません。

営業届出の提出

焼き芋屋は食品営業許可を必要としませんが、営業届出の提出は必須です。「営業届出」とは、保健所に対して営業開始を報告する手続きのことで、これにより営業者の情報が記録されます。万が一、食中毒や衛生問題が発生した際に、迅速な対応ができるようにするための制度です。

営業届出を怠ると、営業停止命令や罰則の対象になる可能性もあるため、開業前に必ず管轄の保健所で手続きを済ませましょう。 焼き芋屋のように営業許可が不要な業種だからといっても、まったく手続きをせずに自由な営業ができるわけではありません。食品を扱う以上、最低限の衛生管理や届出は求められます。必要な手続きをしっかり行い、安全で信頼される営業を心がけましょう。

画像素材:PIXTA


焼き芋の移動販売を開業するには?

焼き芋の移動販売の開業は、他の食品系移動販売と比べて手続きが少なく、比較的低コストで始められるのが魅力です。しかし、スムーズに営業を始めるためには、必要な道具や資格、開業資金の目安を事前に把握しておくことが重要です。以下より、焼き芋の移動販売の開業に必要なものについて解説していきます。

必要なもの

焼き芋の移動販売を開業するための手続きは、上記で解説した通り「食品衛生責任者の取得」と「営業届出」が必要です。その他、開業に必要なものは以下になります。

・焼き芋機
焼き芋を作るための機材です。ガス式、電気式、炭火式など種類があり、出力やコストに応じて選ぶことができます。

・サツマイモ
焼き芋の主原料です。品種によって甘さや食感が異なるため、品種の選定と良い仕入れ先を確保することが重要です。ブランド芋などを使用することによって、プレミアム感を出すこともできます。

・販売用の容器
昔ながらの「焼き芋屋」では新聞紙などを利用する場合もありますが、焼き芋を提供するための紙袋やパックを用意する必要があります。デザインや保温性を考慮して選ぶと良いでしょう。

・販売用のはかり
焼き芋は基本的に重量による量り売りが基本のため、はかりが必要になります。業務用の3kg~5kg程度量れるものを選びましょう。

・トング、手袋など
焼き芋は熱いため、直接触らずに扱えるよう、トングや手袋が必要になります。また、炭火式の焼き芋機を扱う場合、火箸代わりにトングを利用する場合があります。

・燃料
焼き芋機を使用するためには、ガスボンベ、バッテリー、炭など、対応した燃料が必要です。

これらの準備を整えれば、基本的にどこでも営業が可能になります。特に焼き芋機の選定や仕入れを工夫することによって、開業資金を抑えつつ効率的に運営することができます。

費用

焼き芋の移動販売を開業するための初期費用は、使用する機材や仕入れるサツマイモの種類、販売方法によって異なります。一般的な費用の目安は以下の通りです。

項目 費用
車両代(軽トラ等) 50万円~150万円程度(新車・中古、車種等で変動)
焼き芋機 5万円〜30万円(新品・中古、電気式・ガス式・炭火式で変動)
サツマイモの仕入れ 1万円〜5万円(品種や仕入れ量による)
販売容器・包装資材 5,000円〜1万円
食品衛生責任者資格の取得費 1万円程度(東京都の場合、1万2000円)
営業届出の申請費用 無料

総額80万円〜200万円程度で開業できるケースが多く、キッチンカーなど本格的な移動販売に比べると、低予算でスタートできるのが大きなメリットです。

特に初期費用を抑えたい場合は、中古の車両や焼き芋機を活用したり、少量仕入れで徐々に規模を拡大する方法がおすすめです。ブランド芋を使用する、宣伝費などにお金をかける場合はそれ以上の費用が必要になるため、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。

焼き芋屋の開業は、他の食品販売と比べて許可の取得が不要であり、初期投資も抑えやすいのが特徴です。必要な準備を整え、適切な販売場所を選ぶことで、手軽に移動販売ビジネスをスタートできるでしょう。

キッチンカーで接客中

画像素材:PIXTA


営業許可が不要な業種でも、注意すべきポイントは?

営業許可が不要な業種であっても、自由に営業できるわけではありません。販売方法や取り扱う商品によっては、別の許可や届出が必要になる場合があるため、注意が必要です。

販売経路や仕入れが独特な場合がある

生花店の移動販売を始める場合、仕入れは花卉市場(かきしじょう)で早朝に行います。競りに参加する場合、その花卉市場の会員になる必要がありますが、開業後3年経たないと競りには参加できないルールがあります。

そのため、仲卸業者や、農家から直接仕入れるなど他の方法を取る必要があります。ネットでの流通・販売もしているため、それらを利用することも手です。

取り扱う商品によって許可が必要になる場合がある

営業許可が不要な業種でも、販売する商品によっては特別な許可や資格が必要になることがあります。

例えば、焼き芋屋として開業した後に、飲み物や他の食品を追加で販売しようとする場合、新たに営業許可を取得しなければならない可能性があります。取り扱う商品の種類を増やす際は、それぞれの許可要件を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。

■アンティークを取り扱う場合

移動販売でアンティークや中古品を扱う場合、また中古品を利用したリメイク作品などを販売する場合には、古物商許可が必要になります。これは、中古品の売買を行う事業者に求められる許可であり、警察署への申請が必要です。無許可で営業すると罰則の対象となるため、事前に確認しておきましょう。

その他の業種別・移動販売をする上で必要な許可を解説

移動販売を行う際に必要な許可は、業種によって大きく異なります。ここでは、代表的な業種別に必要な許可を解説します。

キッチンカーを開業する場合に必要な許可

キッチンカーで食品を販売する場合、以下の許可が必要になります。

■営業許可

保健所の営業許可が必要です。キッチンカーの設備が基準を満たしているかどうかを確認し、許可を取得する必要があります。自治体によって基準が異なるため、事前に相談するとスムーズです。

■食品衛生責任者資格

キッチンカーでは、食品衛生責任者を1人以上配置する必要があります。この資格は、食品衛生協会で6時間程度の講習を受けることで取得できます。オンラインでの受講も可能なため、開業を考えた時に余裕を持って取得しておくとよいでしょう。

キッチンカーの開業に関する営業許可については、以下の記事でも詳しく解説しています。

▼【2025年最新版】キッチンカーの営業許可を取得するには? 保健所への申請手順を詳しく解説

画像素材:PIXTA


移動スーパーを開業する場合に必要な許可

移動スーパーで食品を販売する場合、販売する品目によって複数の許可が必要になります。

■食肉販売業許可

肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)を販売する場合に必要です。

■乳製品販売業許可

牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を販売する場合に必要です。

■魚介類販売業許可

鮮魚や加工された魚介類を販売する場合に必要です。

これらの許可は、取り扱う食品の種類に応じて個別に取得する必要があるため、取り扱いたい商品のラインナップを考えた上で、開業前に保健所へ相談し、必要な許可をすべて確認しておきましょう。

移動美容室・移動理容室を開業する場合に必要な許可

移動美容室や移動理容室は、キッチンカーとは異なり、食品を扱うわけではありませんが、特定の資格と許可が必要になります。

■美容師免許・理容師免許

移動美容室や理容室を営業するには、国家資格である美容師免許または理容師免許が必須です。無資格で営業すると、法律違反となるため注意が必要です。

また、移動美容室の場合、各自治体の条例によって営業の可否や車両の設備基準が異なるため、事前に確認しておきましょう。

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営業許可が不要な業種であっても、販売方法や商品によっては特別な許可や届出が必要になります。業種によって求められる許可が異なるため、開業前には必ず自治体や保健所に確認し、必要な手続きを済ませることが大切です。

適切な許可を取得し、ルールを守って営業すれば、移動販売は自由度が高く、魅力的な起業の選択肢になりうるでしょう。

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よくある質問

Q
移動販売でいっさいの手続きをせずに開業できますか?
A
できません。営業許可が必要ない場合でも、「営業の届出」をする必要があります。
Q
移動販売で営業許可がいらない食品には何がありますか?
A
「焼き芋」が代表的です。焼き芋は「食品衛生法」で定められた営業許可業種に該当しないため、保健所の営業許可なしで販売できます。ただし、営業届出や食品衛生責任者の資格取得は必要です。
Q
焼き芋以外に営業許可が不要な食品はありますか?
A
基本的に、調理や加工をほとんど行わない食品は、営業許可が不要な場合があります。例えば「未開封のペットボトル飲料」や「個包装された菓子」などは許可不要で販売可能です。ただし、自治体によって解釈が異なる場合があるため、保健所に確認することをおすすめします。
Q
移動販売を始めるにはどんな準備が必要ですか?
A
まず、販売する商品に応じた許可や届出を確認しましょう。その上で、必要な設備を準備し、仕入れ先や営業場所を確保することが重要です。食品を扱う場合は食品衛生責任者の資格を取得し、適切な衛生管理を行いましょう。

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この記事を監修した人
太田 明男
一般社団法人日本移動販売協会 代表理事
1992年リクルートに入社。
2019年に「一般社団法人日本移動販売協会」を創立。移動販売のマッチングサービス「モビマル」を関西圏からスタートし、現在全国に展開中。