キッチンカーで営業を始めるために必須となる「営業許可」。手続きが複雑そうで、何から手をつければいいか不安に感じていませんか。
この記事では、キッチンカーの営業許可を取得するための全手順を、5つのステップに分けて徹底解説します。必須資格である「食品衛生責任者」の取得から、保健所への事前相談、車両準備、書類申請、そして立会い検査まで、各ステップで必要なものや失敗しないためのポイントを、初心者の方にも分かりやすく説明します。
この記事は、こんな人におすすめです。
・これからキッチンカーの開業準備を始める方
・営業許可の取得方法や具体的な流れを知りたい方
・必要な資格・書類・費用を一覧で確認したい方
・保健所での手続きをスムーズに進め、失敗したくない方
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キッチンカーで安全な食品を提供し、合法的に営業するためには、保健所の営業許可取得が必須です。無許可で営業した場合、罰則の対象となるだけでなく、消費者の信頼も得られません。ここではまず、営業許可取得までの全体像を把握するために、5つのステップと必要なものをチェックリスト形式でご紹介します。
キッチンカーの営業許可は、開業予定地の管轄保健所で取得します。大まかな流れは以下の通りです。
本記事では、主に「東京都」を例にとり、営業許可の申請手順を解説していきます。地域によって必要書類や申請料、手順が異なる場合があります。
参考:
東京都福祉保健局「新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ ー自動車関係営業許可申請等の手引ー
1.必須資格「食品衛生責任者」を取得する
2.営業予定地の保健所へ「事前相談」に行く
3.保健所の基準を満たすキッチンカーを準備する
4.必要書類を揃えて保健所へ営業許可を申請する
5.立会い検査を受け、営業許可書を取得
申請から許可書交付までには通常10日から2週間ほどかかるため、営業開始日から逆算して余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
営業許可の申請時に必要となる主なものはこちらです。
【資格】
・食品衛生責任者
【書類】
・営業許可申請書
・施設の構造及び設備を示す図面
・営業の大要
・食品衛生責任者の資格を証明する書類
・(法人の場合)登記事項証明書
【費用】
・食品衛生責任者講習会受講料:1万円~1.2万円程度
・営業許可申請手数料:1.5万円~2万円程度
・キッチンカーの制作・購入費用
・車両の車検費用、登録費用など
食品を扱う営業施設には、1施設につき1名以上の「食品衛生責任者」を配置することが食品衛生法で義務付けられています。キッチンカーも例外ではなく、この資格がなければ営業許可を申請できません。
画像素材:PIXTA
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講することで取得できます。講習は、食品衛生法や公衆衛生学、食品の微生物学などを学ぶ座学が中心で、おおむね6時間ほどで修了します。
受講費用は地域によって異なりますが、およそ1万円~1.2万円程度が目安です。インターネットや電話で事前に申し込み、開催場所で受講します。一部の都道府県ではe-ラーニングでのオンライン受講も可能です。
実は、調理師免許や栄養士、製菓衛生師といった特定の国家資格を持っている人は、食品衛生責任者養成講習会の受講が免除されます。
<食品衛生責任者講習を受ける必要のない資格(一部)>
・調理師
・栄養士
・製菓衛生師
・医師、薬剤師、獣医師
・食品衛生管理者、食品衛生監視員になれる資格
すでにこれらの資格をお持ちの方は、改めて講習を受ける必要はありません。調理師免許は営業許可の必須資格ではありませんが、取得していればお客様からの信頼向上にもつながるため、メリットは大きいと言えるでしょう。
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食品衛生責任者の資格は原則として全国共通であり、一度取得すればその後の更新は不要です。例えば、東京都で講習を受けて取得した資格は、神奈川県や大阪府など、他の地域で営業する際にも有効です。ただし、営業許可自体は営業する地域(都道府県)ごとに取得する必要があるため、混同しないように注意しましょう。
キッチンカーの営業許可取得で、最も重要なステップと言っても過言ではないのが「事前相談」です。車両製作の前に必ず、営業予定地を管轄する保健所へ足を運びましょう。
2021年6月の食品衛生法改正により、営業許可の共通基準が全国で統一されました。しかし、地域によっては独自の「推奨基準」が設けられているケースがあります。
例えば、シンクの数や給排水タンクの容量、換気設備など、保健所によって細かな要件が異なる場合があります。事前相談でこれらの基準をしっかり確認しておかないと、いざ車両が完成してから「保健所の基準を満たしていない」と指摘され、再工事が必要になるという事態になりかねません。余分な費用と時間を費やすことにならないよう、必ず車両製作前に相談しましょう。
事前相談では、以下の項目を中心に確認しましょう。
・営業予定の業種(例:飲食店営業)
・提供したいメニューの詳細
・車両の設備基準(特にシンクの数や給排水タンクの容量)
・仕込み場所の基準
・必要書類の種類と書き方
・申請手続きのスケジュール
・その営業許可が適用されるエリア(「都内一円」「県内一円」など)
保健所の立会い検査で不適合となるケースで多いのが、設備基準の不備です。特に以下の2点は、必ず事前に確認し、図面作成や車両準備に反映させましょう。
1.シンクの数と種類
・手洗い専用シンク:非接触型(センサー式や足踏み式など)が必須
・調理用シンク:複数必要な場合がある
2.給排水タンクの容量
・提供するメニューや販売量によって、求められる容量が異なります。
これらの基準が不十分だと、許可されるメニューが限定されたり、最悪の場合は再検査が必要になったりします。保健所の担当者と詳細に話し合い、メモを取るなどして正確に把握することが大切です。
参考:東京都保健医療局 公衆衛生上必要な措置(食品衛生法施行規則別表第17、第18)
画像素材:PIXTA
キッチンカーでは、営業する車両内だけでなく、食材の下準備を行う「仕込み場所」にも営業許可が必要です。原則として、自宅のキッチンは仕込み場所として認められません。
仕込み場所として認められるには、以下のような条件を満たす必要があります。
・営業許可を取得した厨房施設(飲食店や食品製造工場など)
・自宅とは別に、専用の設備を整えたキッチン
営業許可を取得した知人の店舗を借りる、レンタルキッチンを利用する、などが一般的な解決策です。事前相談の際に、仕込み場所についても相談しておくと安心です。
事前相談で得た情報を基に、キッチンカーを製作・購入します。保健所の基準を満たす設備を備えることが最優先です。
キッチンカーを手に入れる方法は大きく2つあります。
・新車をベースに製作する
メリット:保健所の基準に沿って自由に設計できる、故障のリスクが低い、最新の設備を導入できる
デメリット:費用が高く、納車までに時間がかかる
・中古車を購入する
メリット:費用が安く抑えられる、すぐに営業を開始できる
デメリット:すでに作られた設備が保健所の基準を満たしていない場合がある、経年劣化による故障リスクがある
中古車を購入する際は、必ず最新の営業許可基準を満たしているかを確認しましょう。
車両準備で失敗しないためには、保健所の基準を満たすことはもちろん、実際の営業をシミュレーションしてみることが大切です。
・作業スペースの広さ:意外と狭く、調理や接客がしにくい
・動線の確保:スタッフの動きがスムーズか
・十分な収納スペース:食材や備品を清潔に保管できるか
・電源容量:調理機器を同時に使うとブレーカーが落ちる
これらの点を考慮し、保健所の基準だけでなく、使いやすさも両立したキッチンカーを準備しましょう。
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車両が完成したら、いよいよ営業許可の申請です。事前相談で確認した必要書類を揃え、不備がないように準備しましょう。
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主に必要となる書類は以下の通りです。
1.営業許可申請書
管轄の保健所やウェブサイトから入手できます。
2.施設の構造及び設備を示す図面
車両の全体図や設備配置が分かる図面です。専門業者に依頼すれば作成してもらえます。
3.営業の大要
営業内容や仕入れ先、保管場所などを記載する書類です。
4.食品衛生責任者の資格を証明するもの
講習会修了証や国家資格の免許証の原本を持参します。
5.(法人の場合)登記事項証明書
法務局で取得します。
申請書類の記載事項に不備があると、修正のために何度も足を運ぶことになります。特に注意したいのが「営業の大要」です。
・仕込み場所:自宅キッチンはNG。営業許可を取得した場所を明記します。
・取扱品目:提供するメニューを具体的に記載します。
・給水・排水タンク容量:正確な容量を記載します。
これらの記載内容が、立会い検査で確認されるため、事実と相違ないように注意しましょう。
営業許可の申請手数料は、都道府県や業種によって異なります。例えば、東京都の場合は18,300円です。申請時に現金で支払うことがほとんどのため、事前に金額を確認して準備しておきましょう。
書類提出後、保健所の担当者と相談して立会い検査の日程を決めます。いよいよ、車両が基準を満たしているか、最終確認です。
立会い検査では、提出した図面と車両が一致しているか、実際に設備が機能するかなどを確認します。
<主なチェック項目>
・シンクの数、給排水タンクの容量
・手洗い用シンクの蛇口が非接触型か
・調理器具、食材、食器を清潔に保管できるスペースがあるか
・換気設備が適切に機能するか
・蓋つきのゴミ箱が設置されているか
・冷蔵庫や冷凍庫の温度計が機能するか
担当者は、「お客様に安全な食品を提供できるか」という観点で厳しくチェックします。
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万が一、立会い検査で不適合と判断された場合でも、すぐに再検査の日程調整が可能です。不適合となった箇所を指摘されるので、速やかに改善し、再度検査を受けましょう。再検査では、不適合だった箇所のみを重点的に確認することが多いようです。
立会い検査に合格すれば、晴れて営業許可がおります。許可書が交付されるまでには、通常1週間から10日ほどかかります。許可書を受け取るまでは営業を開始できないため、営業開始日から逆算してスケジュールに余裕を持っておくことが大切です。
営業許可を取得して終わりではありません。営業開始後も、継続的な衛生管理や、変更があった際の手続きが必要です。
キッチンカーの営業許可の有効期限は5年間です。期限が切れる約1ヶ月前には、更新手続きを始めましょう。更新時にも、改めて立会い検査が行われ、基準を満たしているか確認されます。
車両の改装や、登録番号の変更など、申請内容に記載した事項に変更が生じた場合は「変更届」の提出が必要です。ただし、車自体を買い替えるなど、車両が新しくなる場合は新規で営業許可を取得しなければなりません。
営業許可は、営業予定地の管轄保健所に申請するため、別の都道府県で営業したい場合は、その地域の保健所で改めて営業許可を取得する必要があります。隣接する県境などで営業する予定がある場合は、注意しましょう。
この記事では、キッチンカーで営業をはじめる際に必ず取得する「営業許可」について解説してきました。キッチンカーの営業許可取得において、最も重要なことは「車両の取得・改装」です。そのためには営業許可基準を把握した上で、車両の制作を行い、保健所の立ち会い検査をクリアする必要があります。
キッチンカーはひとりでの起業に人気ですが、車両の制作や手続きはかなり煩雑で手間もかかるため、業者に任せることも選択肢に入ってきます。
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