大阪を拠点に、「かねますフルーツ」として、フルーツサンドをメインにしたキッチンカー事業の運営を担当している撫養(むや)さん。果物等青果の卸業が本業である、かねますフルーツが、飲食事業を新規事業として開始する際に会社にジョインし、結果的にはキッチンカー事業を始めることになりました。
出店当時は売上げに伸び悩んでいた撫養さんでしたが、ある工夫で売上額が約4倍に。モビマルが主催する2024年下期「ビジョン賞」※も受賞されました。キッチンカー事業開始から売上アップのために実施した工夫について、お話を伺いました。
※モビマルビジョン部門表彰
モビマルのビジョン「移動販売を活用した地域の創生」に貢献し、それに即した行動を多くとられたキッチンカー(移動販売)事業者をモビマルが半期ごとに表彰しています。
かねますフルーツは、2000年10月に、果物を中心に扱う青果卸売企業として生まれました。私は2014年に、新規事業として飲食事業を開始する際に入社。「お客様に旬の果物を気軽にお召し上がりいただきたい」という思いから実店舗での展開を検討していましたが、ちょうどコロナ禍に突入したことで、お客様が来店するのを待つのではなく、こちら側の都合でシーズンの果物を持参できるキッチンカー事業に決定。2021年からモビマルに登録し、出店を開始することになりました。
フルーツサンドで特化していることは、果物卸だからこそ提供できる、市場で仕入れた旬の新鮮な果物を使用していることです。また、フルーツサンドに合うパンを厳選して使用しています。サンドの断面が美しく、目をひく商品になっています。
旬の苺を贅沢に使った「大粒苺のフルーツサンド」
地元である京阪電鉄香里園駅(寝屋川市)前で土曜に出店を開始しましたが、お客様の反応は良いものの、売上は横ばいが長らく続きました。他に同じ駅前で出店しているキッチンカー事業者も、売上には苦戦しているようでした。
我々の仮説として、キッチンカーが出店している時間と商品のターゲット層がマッチしていないことが原因では?と考えました。
そこで、売上を伸ばすために、フルーツサンド以外にも、関連する商品も販売することにしました。まずは新鮮な旬の果物自体を販売。みずみずしい新鮮な果物が並ぶことで、フルーツ専門店であることを訴求することができます。さらに、自家製の旬の果物を使ったオリジナルジャムも展開。ジャムに使用するフルーツは、味は確かであるものの、少し傷が入ったものなど販売に向かないものを活用することで、食品ロスも押さえることができ、一石二鳥でした。そうすることで、果物を購入してくれた方が「フルーツがおいしかったからフルーツサンドも買ってみる」など、購入層を拡大することができました。
また、毎週のように土曜に同じ場所で出店することで、少しずつ認知度が上がったことに加え、事前にSNSで出店告知をすることで「土曜はかねますフルーツの日」と認識していただき、常連のお客様にお越しいただけるようになりました。
その結果、売上額は2024年10月と2025年3月と比較すると、約4倍に伸ばすことに成功しました。
モビマルは常に香里園駅前の出店に伴走してくれていますが、今回のビジョン賞受賞は、これまでの取組を通して、駅前の活性化につながっていることを評価いただけたのだと考えています。
「バナナ&クッキークリーム」
もともと、かねますフルーツで飲食事業をはじめることになったきっかけは、代表の「果物を食べる文化を取り戻そう」という思いからでした。
現在は、ライフスタイルの変化や価格の高騰、知識の不足など様々な要因から、フレッシュな果物を日常で食べる方が少なくなってきているという課題があります。もっと気軽に新鮮な果物のおいしさを知っていただきたいという思いから、卸だけではなく、お客様にダイレクトに伝えられる事業としてキッチンカー事業を展開しています。
今後は、キッチンカーをもう1台増やす予定です、現在のキッチンカーでは、サンドイッチを販売したり、簡単なものを加熱するレベルの仕様になっていますが、新しいキッチンカーでは生搾りでフルーツジュースを提供したいと考えています。オーダーメイドのジュースバーができれば、新鮮な果物をさらにお楽しみいただけますし、何よりも弊社でしかできない強みであると考えています。
先代より培われた「うまいくだもの」を見分ける目
ブランドフルーツだけが美味しいわけじゃない!
フルーツ専門家の目利きで「本当に美味しいフルーツ」を追い求めて全国各生産地を飛び回り、現地で買い付けてみなさまにお届けいたします。