近年、開業や独立の選択肢として人気な「キッチンカー」ですが、準備で一番手間がかかるのが車両の用意です。
「保健所の許可基準が分からない」「何から揃えればいいのか…」そんな悩みは、開業希望者の誰もが通る道です。この記事では、キッチンカー開業のプロ「モビマル」が、営業許可に必要な必須設備から、日々の運営を支える調理器具、集客アイテムまでを徹底解説。
無駄な投資を避け、スムーズな開業を実現するための知識をすべてお伝えします。
この記事は、こんな人におすすめです
・キッチンカー開業の第一歩として、必要な設備を知りたい
・保健所の営業許可基準(シンクサイズ、タンク容量など)が分からず不安
・ガスや消火器など、火気を使用する場合のルールを知りたい
・設備にかかるおおよその費用感を知りたい
・開業準備で失敗や遠回りをしたくない
当サイト「モビマル」では、キッチンカー製作のサポートを行っています。新車・中古車からのキッチンカー製作から、難しい営業許可取得まで。あなたのこだわりを形にするお手伝いをいたします。
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目次
キッチンカーを開業するにあたって、まず最優先で考えなければならないのが「営業許可の取得」です。どんなにおしゃれな車を用意しても、保健所が定める設備基準を満たしていなければ、営業許可は下りず、料理を販売することはできません。
特に保健所が厳しくチェックするのは「衛生管理」と「安全管理」に関わる部分です。食中毒を防ぎ、火災等の事故を未然に防ぐ環境が整っているかが審査されます。ここでは、一般的に求められる必須設備とその理由を解説していきます。
参考:東京都保健医療局「食品衛生の窓」営業許可・届出の概要(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html)
キッチンカーの設備の中で、最も重要かつ基準が細かいのが給排水設備です。情報量が多いため、重要な「シンク等の基準」と「タンク容量」に分けて詳しく解説します。
■絶対に失敗しないシンクのサイズと蛇口のルール
車内には「手洗い用」と「調理器具等の洗浄用」として、合計2台以上のシンク(水槽)の設置が必要です。
ここで見落としがちなのがシンクの「サイズ」です。
多くの自治体では、洗浄用シンクについて「幅45cm × 奥行36cm × 深さ18cm 以上」といった具体的な内寸基準を設けています。これは「大きな鍋やまな板を十分に洗える大きさ」を求めているためです。
家庭用の小さな手洗いボウルなどを設置してしまうと、サイズ不足で許可が下りないケースがあるため、必ず図面や実寸を確認して購入しましょう。
また、手洗い用の蛇口に関しては、洗浄後の手を再汚染しないよう、レバーに触れずに水が出せる「非接触型(センサー式、足踏み式、肘操作式など)」の蛇口が必須要件となっている自治体がほとんどです。
■メニューで決まる!給排水タンクの容量
次に重要なのが「給水・排水タンク」の容量です。タンクの大きさによって、車内で許可される調理工程の範囲(=できるメニュー)が決まります。
| タンク容量 | 可能な調理・作業の目安 |
|---|---|
| 約40リットル |
簡易な調理のみ 温める、揚げる、盛り付ける程度の作業。単一品目の取り扱い。使い捨て食器を使用する場合など。 |
| 約80リットル |
2工程程度までの簡易な調理 大量の水を使用しない調理。複数品目の取り扱いが可能。使い捨て食器を使用する場合など。 |
| 約200リットル |
本格的な調理・仕込み 大量の水を必要とする複数工程の調理が可能。通常の食器(陶器など)の洗浄・再利用が可能。 |
ご自身が提供したいメニューがどの区分に当てはまるのか確認しましょう。また、水を汲み上げるための電動ポンプが必要になるケースも多いため、併せて準備が必要です。
画像素材:PIXTA
ガスコンロやフライヤーなど、火気を使用する調理器具を搭載する場合は、保健所の衛生許可に加えて「消防法」や各自治体の火災予防条例に基づく安全対策が必須となります。
・消火器の設置
火気設備を使用するキッチンカーには、「業務用消火器」の設置が義務付けられています(住宅用は不可)。すぐ手に取れる場所に設置し、腐食や破損がないか定期的に点検しましょう。
・離隔距離の確保
コンロなどの火元から、可燃物(壁や棚など)までの距離を一定以上離す「離隔距離」の確保が必要です。もし十分な距離が取れない場合は、ステンレス板や不燃材で防熱板(遮熱板)を設置しなければなりません。
・プロパンガスの固定
LPガスボンベを使用する場合、走行中に転倒しないよう、チェーンやベルトで強固に固定することが定められています。また、直射日光を避け、通気性の良い場所に設置する必要があります。
これらは命に関わる重要な設備です。「知らなかった」では済まされませんので、必ず消防署や専門業者に確認しましょう。
食品や道具を衛生的に保つための設備です。
・冷蔵庫/冷凍庫
常温保存できない食材を扱う場合は必須です。走行中の振動でドアが開かないようロック機能をつける等の対策が求められます。
キッチンカーの冷蔵庫に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
▼キッチンカーに冷蔵庫は必要? おすすめ機種の選び方と電源確保の方法を解説
・収納棚
食品や調理器具を保管する棚には、必ず「扉」が必要です。ここでよくある失敗が、「DIYで木製の棚を作ったが、木材むき出しの状態だったためNGが出た」というケースです。保健所は「水拭き洗浄ができる材質」を求めます。木材を使用する場合は、耐水性のある塗料で塗装するか、キッチンパネルなどの不燃・耐水素材を貼り付ける必要があります。
・廃棄容器(ゴミ箱)
においや水漏れを防ぐ「蓋付き」のもので、かつ「足踏み式」など手を使わずに開閉できるタイプが推奨されます。
車内の環境を保つための設備も重要です。
・換気扇
調理時の熱や排気のために必須。虫の侵入を防ぐための防虫網(ウェザーカバー等)の取り付けもセットで求められます。
・照明
手元が暗いと異物混入のリスクが高まるため、作業に必要な明るさ(ルクス)を確保します。
・電源装置
「走行中に冷蔵庫が止まって食材が傷んだ」とならないよう、走行充電システムやサブバッテリー等の電源確保が、許可の前提条件となることが多いです。
また、運転席と調理スペース(客室)の間には、衛生区分を明確にするための仕切板が必要です。
ここまで一般的な基準を解説しましたが、キッチンカーの営業許可で最も注意すべき点は「自治体(保健所)によってローカルルールがある」ということです。
例えば、「A市では給水タンク40Lで許可が下りたが、隣のB市では80L必要と言われた」「手洗い石鹸の固定設置場所まで指定された」といったケースは珍しくありません。
インターネット上の情報を鵜呑みにして設備を購入・製作してしまうと、いざ申請する段になって「基準を満たしていない」と判断され、大規模な改修が必要になるリスクがあります。
必ず、車両製作や設備購入を始める前の段階で、営業したい地域を管轄する保健所の窓口へ行き、「図面」や「計画書」を持参して事前相談を行うようにしてください。
営業許可に必要な設備はあくまで「スタートライン」です。実際に営業を始めると、効率よく調理し、お客様を呼び込むための設備が重要になってきます。「調理」「電源」「集客」「移動」の4つの観点から、実用的な設備を見ていきましょう。
限られた車内スペースを有効活用するには、メニューに特化した調理器具選びが重要です。
例えば、唐揚げやフライドポテトがメインなら、温度管理がしやすく油ハネの少ない「電気フライヤー」や「ガスフライヤー」が中心になります。一方、クレープやガレットなら専用の「クレープ焼き器(トンボ含む)」と、生地を冷やしておく冷蔵スペースの配置が重要です。
また、作業台(ワークトップ)の高さや広さも効率に直結します。提供口の高さに合わせて作業台を設置しないと、腰を痛める原因にもなりますので注意が必要です。
キッチンカーで「儲かるメニュー」については、以下の記事でも詳しく解説しています。メニューを決めた上で、必要な調理設備を検討するのも一つの方法です。
▼【最新】キッチンカーで儲かるメニューをランキング形式で解説!
許可基準としての「電源装置」とは別に、営業中の電力をどう賄うかは大きな課題です。主に以下の3つの方法があります。
1.発電機
高出力で長時間の営業が可能。フライヤーやエアコンなど消費電力の大きい機器を使えますが、騒音や排気ガスの問題があり、出店場所によっては使用禁止の場合があります。
2.ポータブル電源(大容量バッテリー)
静かで排気ガスも出ないため、場所を選ばず使えます。技術の進歩で大容量化していますが、熱源(ホットプレート等)を長時間使うにはまだ容量不足な面もあり、LED照明や冷蔵庫、スマホ充電などの補助電源として優秀です。
3.現地電源の利用
出店先のコンセントを借りる方法です。最も安定し静かですが、すべての出店場所に電源があるわけではありません。そのため、外部電源を取り込むための「外部電源入力口」と専用コードを車体に装備しておく必要があります。
キッチンカーのおすすめ発電機に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
▼キッチンカーにおすすめの発電機はどれ? 特徴と選び方を解説!
どんなに美味しい料理を作っても、お客様に気付いてもらえなければ売れません。キッチンカーの存在をアピールする「視認性」の高い装飾が必要です。
遠くからでも「何のお店か」が分かるように、車体の上部や側面に飾る「タペストリー」や、風になびいて目立つ「のぼり旗」は必須アイテムです。
また、車に近づいてきたお客様のために、足元に置く「A型看板」や、カウンター横に設置する「メニュー表」も用意しましょう。これらは専門業者にデザインを依頼することで、よりプロフェッショナルな印象を与えることができます。
「売れる」メニュー表を作るコツは、以下の記事で詳しく解説しています。
▼キッチンカーのメニュー表で売上が上がる! デザインのコツと売れるPOP作成術
画像素材:PIXTA
キッチンカーは後部にシェル(調理室)を架装しているため、ルームミラーで後ろが見えない、死角が多いという特徴があります。
そのため、後方の安全確認をするための「バックモニター」と「バックカメラ」の設置を強くおすすめします。また、万が一の事故に備えた「ドライブレコーダー」も必需品です。
見た目を良くするエアロパーツなどは好みですが、まずは安全に関わる装備に投資することが、息の長い経営につながります。
「設備を揃えるのに、結局いくらかかるの?」
これは最も気になるポイントではないでしょうか。費用は「新品か中古か」「車両のグレード」によって大きく変動しますが、大まかな相場を知っておくことで予算計画が立てやすくなります。
▼【最新版】キッチンカーの開業資金はいくら必要? 相場や調達方法について解説
車両本体を含めず、内装・厨房設備(シンク、タンク、換気扇、調理器具など)をゼロから揃える場合、新品であれば概ね50万円〜100万円程度、こだわればそれ以上かかることもあります。
車両購入費(200万〜400万円程度)と合わせると、開業時の初期投資は総額で250万円〜500万円程度が一般的な相場と言えます。
一方、すでに設備が整っている中古のキッチンカーを購入する場合は、総額150万円〜300万円程度に抑えられるケースもあります。ただし、前のオーナーの使用状況によって設備の劣化具合が異なるため、安さだけで飛びつくのは危険です。
限られた資金で開業するためには、工夫してコストを削減することも大切です。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
■方法1:中古設備を活用する
厨房機器(冷蔵庫、フライヤー、シンクなど)を中古品で揃えれば、新品の半額以下で済むこともあります。
ただし、フリマアプリなどで個人から購入するのはリスクが伴います。「届いたら動かなかった」「衛生状態が悪かった」といったトラブルを避けるため、清掃・点検・保証がついている「厨房機器専門の中古販売店」を利用するのがおすすめです。
■方法2:リースやレンタルで初期費用を圧縮
「まずは半年だけ試してみたい」「初期費用を極力抑えたい」という場合は、キッチンカー自体のリースやレンタルを利用するのも手です。
月額費用で営業許可取得済みの車両を利用できるため、まとまった資金がなくてもスタートできます。ただし、長く借り続けると購入するより割高になる場合があるため、期間を決めて利用するのが賢い方法です。
キッチンカーのレンタル・リースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▼【最新版】キッチンカーのレンタル、リースの違いは? 相場や向いている方法を診断
■方法3:DIYで設備を設置する
自分で棚を作ったり、シンクを取り付けたりするDIYは、材料費だけで済むため大幅なコストダウンになります。
しかし、前述の通り保健所の基準は厳格です。「耐水性のない木材を使って作り直しになった」「シンクのサイズが数センチ足りなかった」という失敗はDIYによくある話です。DIYに挑戦する場合は、必ず設計図を持って保健所に事前相談に行き、素材選びから慎重に行う必要があります。
「設備の種類が多くて選べない…」
「保健所の手続き、自分一人でできるか不安…」
ここまでお読みになって、もし少しでも不安を感じたなら、ぜひキッチンカーのプロ「モビマル」にご相談ください。私たちは、あなたの開業をトータルでサポートします。
モビマルでは、お客様のご要望や予算に合わせたキッチンカー製作のサポートを行っています。
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さらに、車両を作って終わりではありません。開業後の「出店場所の紹介」や「出店ノウハウ」までサポートできるのがモビマルの強みです。もちろん、相談は無料です!
キッチンカーの設備は、単に料理を作るための道具ではありません。「営業許可」という法的基準をクリアし、お客様に「安全」と「信頼」を届けるための土台です。
また、使いやすい設備は日々の作業ストレスを減らし、美味しい料理を素早く提供すること(=売上アップ)にもつながります。
最初は大変に感じるかもしれませんが、一つひとつ丁寧に準備を進めることが、長く愛されるキッチンカーを作るための一番の近道です。準備で困ったときは、いつでもモビマルを頼ってください。
「まだ具体的に何から始めるか決まっていない」「とりあえず話だけでも聞いてみたい」
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