キッチンカーの運営をしていく上で、出店場所によっては、電源を貸してもらえなかったり、お金が必要になることもあります。自前で発電機を備えることで、どんな場所でも営業できるようになり、出店できる場所やイベントの幅も広がります。しかし、安い買い物でではないため、どんな基準で選べばいいかを解説します。
この記事は、こんな人におすすめです。
・キッチンカーの開業を考えている
・キッチンカーで、どんな時に電力が必要になるか知りたい
・おすすめの発電機を知りたい
・発電機を選ぶ時のポイントについて知りたい
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キッチンカーの営業において発電機は「必要」であると言っていいでしょう。移動販売においては、現地で電源を借りることも選択肢に入りますが、実際は借りれない場合もあり、借りれたとしてもお金が別途かかるケースも多いです。
また、使用できることを事前に確認していた場合でも、想定していたように使えるかどうかは限りません。上記の理由から、キッチンカーは自前で発電機や予備電源を持っておくと、営業に支障が出る事態を回避することができます。
キッチンカーの営業において、電力を必要とするものは少なくありません。調理や会計など、キッチンカーの営業に使う機材には以下のような物が考えられます。
・調理器具(ホットプレートや電子レンジ、炊飯器など)
・換気扇
・給水・排水ポンプ
・冷蔵庫・冷凍庫
・照明器具
・音響設備
・POSレジ(タブレットやスマートフォンなどの充電を含む)
特に調理器具は大量の電気を必要とするものも多く、ポータブル電源等ではまかないきれないケースも。自分の運営するキッチンカーがどれくらい電力を必要しているか、まずは把握しておく必要があります。
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当サイト「モビマル」に登録されている出店場所の中での話になりますが、場所やイベントの性質によって電源が利用できるか、できないかの傾向があります。
オフィスや大学などの空きスペースへのランチ出店では、およそ全体の8~9割ほどが電源を利用することができます。対して、公園やイベントではほぼ電源は利用できないと考えてください。
電源の利用料は、出店料に含まれていることがほとんどですが、場所によっては出店料とは別に1日500~1000円程度の設定をしているところもあります。
電源が借りられる場所の場合でも、電源が近くにあるとは限らず、思うように使用ができない場合があります。車まで電源を引っ張れるコードリールの用意はもちろん、発電機を用意しておくに越したことはありません。
公園などの空きスペースやイベント営業では、一部の大会場を除き、基本的に電源を借りることはできません。食材の保存から調理まで電力を使う機会は多く、発電機を用意しておくことは、キッチンカーの営業にとって必須と言っていいでしょう。
キッチンカーで使用する発電機を選ぶポイントは4つあります。「用途にあった出力があるか」「積み下ろしができるサイズか」「静音性はどうか」「予算に合った金額か」です。それぞれのポイントについて、以下から解説していきます。
まず見たいのは、必要な電力をまかなうだけの出力があるかです。発電機の出力の大きさを「定格出力」と呼び、単位は「VA」で表されます。
電気製品には「消費電力」のほかに、起動に必要な「起動電力」があります。消費電力の何倍も起動電力が必要な機器もあるため、使いたい電気製品の起動電力の合計よりも、大きな出力を持つ発電機を選ぶとよいでしょう。
■目安となるワット数
ここでは、キッチンカーで使用する設備における消費電力と起動電力の一例を見ていきます。
設備名 | 消費電力 | 起動電力 |
---|---|---|
テーブル冷蔵庫 | 140w | 600w |
ホットプレート | 1300w | 1300w |
ハロゲンライト | 250w | 500w |
POSレジ | 30w | 70w |
小型クーラー | 200w | 800w |
発電機の定格出力は、起動電力の合計よりも大きいものを選ぶとよいでしょう。
たとえばこの表で、テーブル冷蔵庫とPOSレジ、ホットプレートを使用する場合
600+1300+70=1970w 以上の出力が必要です。
余談ですが、出店場所で借りられる電気の目安は1300~1600wの場合が多いため、これをひとつの基準にして使用する機材を選ぶのも方法のひとつです。
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十分な出力のある発電機は営業に必要なものですが、出力の大きい発電機は、おのずと大きく・重くなる傾向にあります。いくら性能が良い発電機を導入したとしても、重すぎたり大きすぎたりして一人で積み込みや積み下ろしができないようなものでは、実用性があるとは言えません。
本体重量だけではなく、使用する燃料の重量を加味すると、小型のものでも15kg程度、大きいものだと30~40kg程度あるものが一般的です。一般的には定格出力900~1,800VA程度の発電機であれば、一人でも持ち運べるサイズ感のものが多いでしょう。
また、大きさも重要です。大きすぎる発電機は輸送の際にキッチンカー内で場所をとりますし、出店場所についてからも、限られた出店スペースの中で、設置ができるかにも関わってくるため、必要な出力と大きさ・重さのバランスを考え、選ぶとよいでしょう。
発電機は運転音(駆動音)が非常に大きな音がする点にも注意が必要です。出店場所や出店する時間によっては騒音で苦情が来る可能性もあり、営業がしづらくなってしまいます。一般的な定格出力が1,500VAを超える発電機の駆動音の大きさは80dB(デシベル)で、これは地下鉄の車内やパチンコ店の店内などの騒音の音量と同等だとされています。
静音設計の発電機も増えていますが、それでも50~60dB程度で、洗濯機や掃除機と同程度の音量はあると考えてよいでしょう。ただ、音は距離や遮るものがあれば減衰していくため、スペースや置く場所を工夫することで、発電機の駆動音でお客を不快にさせることは少なくなるでしょう。
発電機は業務用かつ大型の機材にあたるため、値段は決して安いものではありません。安いものなら3万円~程度から購入することもできますが、高出力・高容量タイプでは10万円以上するものが一般的です。
安い買い物ではないため、必要な出力と、大きさ・重さ、騒音とのバランスを見て、適正な容量の発電機を選ぶとよいでしょう。
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発電機の種類は大きく分けて「インバーター式」と「スタンダード式」があります。
インバーター式は現在発売されている発電機の定番になっており、安定した品質の電気を供給できることから、パソコンやエアコン、電子レンジといった精密機器を利用するのに向いています。比較的静音性も高く、コンパクトなものも多いため、キッチンカーにとってのメリットも大きいでしょう。
スタンダード式と比べると割高であることが多く、仕組みも複雑なため、耐用年数が比較して短くなりやすい点がネックです。
インバーターを搭載していない発電機は、すべてスタンダード式です。お祭りの屋台などで使われることが多く、構造もシンプルなためとにかく丈夫で壊れにくいメリットがあります。
現在の主流はほぼインバーター式で、価格の差が縮まっているため、あえてでなければ選ぶことも少ないでしょう。出力する電力が安定しづらく、精密機器は壊れてしまう可能性があることに注意が必要です。
ここでは、いくつかおすすめの発電機を紹介していきます。
近年、発電機の価格も上昇傾向にあるため、新品・3万円台で購入できる発電機は貴重です。出力は900VAなので、電子レンジやホットプレートの使用は難しいですが、冷蔵庫と照明、スピーカーなどであれば十分使用に耐えるでしょう。
燃料タンクが1.8L、駆動時間も3時間のため、ランチタイムの使用であれば大丈夫ですが、1日営業や、夜間に営業する場合は給油が必要になる可能性がある点がネックです。
スペック:
交流:出力0.9kVA / 電流9A
直流:電圧12V / 電流5A
使用燃料:無鉛ガソリン (自動車専用レギュラーガソリン)
燃料タンク:1.8L
連続使用時間:約3時間
騒音値:約65dB
USB出力端子:2個 (9A×2口)
高圧電流・電圧:100V / 16A
セール時であれば50,000円台で購入でき、定格出力も1,800VAあるので、調理機材の使用も可能です。フル出力で3.5時間、25%負荷で7.5時間あるため、使い勝手もぐんとよくなります。このメーカーは大容量モデルでも安価に抑えられており、使用者からも評価が高いため、選択肢として考えてよいでしょう。
定格出力 1.8kVA(瞬間最大出力2.0kVA)
定格周波数 50/60Hz(切替式)
ACコンセント 100V/18A(2口)、100V/30A(1口)
シガーソケット 12V/8.3A(1口)
エンジン種類 空冷4ストロークOHVエンジン
エンジン排気量 79cc
使用燃料 無鉛ガソリン
燃料タンク容量 3.6L
推奨オイル 4 サイクル用、粘度SAE10W-30相当
オイル規定量 0.35L
指定点火プラグ A5RTC(TORCH)、CR5HIX(NGK)
使用環境温度 -5℃~40℃
連続運転時間 約7.5h(25%負荷)~3.5h(100%負荷)
騒音レベル 59dB(エコモード ON、機側7m、四方向の算術平均値)
製品寸法 48.5x29x44.5cm(全長×全幅×全高)
乾燥重量 約19kg
安心の日本メーカーで定格出力は2500VAと十分、フル出力でも6時間以上駆動するため、営業には十分のスペックです。気になるのはやはり価格と重さ。実売価格で12~15万円程度で、さらえに燃料を足すと40kg弱になるため、中型~大型のキッチンカーでない限りは積むにも使うにもオーバースペックになるでしょう。
定格出力:2.5KVA (2,500VA)
定格周波数(Hz):50Hz/60Hz切替式
定格電圧/電流(交流) : 100V/25A
交流コンセント: 15Ax2個 + 30Ax1個
エンジン種類:空冷4ストローク、ガソリンエンジン
使用燃料: 無鉛ガソリン(自動車用レギュラーガソリン)
燃料タンク容量: 9.0L
連続運転時間: 約13.2~6.1時間 (1/4負荷 [エコノミーコントロールON時]~定格負荷)
全長×全幅×全高(cm):48.7×39.5×42.5cm
乾燥重量:29kg
始動方式:リコイルスターター
EENOURのハイエンドモデルで、3500wの高出力モデルです。実売価格は20万円ほどですが、大型のキッチンカーで空調や電子レンジといった調理機材を使用するのであれば理想的なスペックです。駆動時間は最大10時間と、周囲になにもない土地でも一日営業も可能な容量です。本体重量も27kgとこのクラスとしては軽量で、さらにキャスターと伸縮ハンドルがついているので、持ち運びにも便利です。
定格出力 3.5kVA(瞬間出力4.5kVA)
定格周波数 50/60Hz(切替式)
ACコンセント 100V/20A(2口)、100V/30A(1口)
シガーソケット 12V/8.3A(1口)
エンジン種類 空冷4ストロークOHVエンジン
エンジン排気量 160cc
使用燃料 無鉛ガソリン
燃料タンク容量 5.8L
エンジンオイル 4 サイクル用、粘度SAE10W-30相当
オイル規定量 0.45L
連続運転時間 約10h(25%負荷/875W出力時)~3h(100%負荷/3500W出力時)
騒音レベル 59dB(エコモード ON、機側7m、四方向の算術平均値)
付属品 日本語説明書、リモコン、差替式ドライバー、点火プラグ交換用レンチ、オイルジョッキ、オイル排出用ホース
別売りパーツ 直列·並列運転コンセントボックス(型番:DK50A)、バッテリー充電用アダプター(お問い合わせください)
製品寸法 53x31x50cm(全長×全幅×全高)
乾燥重量 約27kg
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キッチンカーの電力供給の手段として、発電機の他にポータブル電源を使用する方法もあります。充電しておいた電力を使うため、発電機と比較して燃料を使うことがなく、排気ガスも出ないため、キッチンカーの車内でも使える点は大きなメリットです。
発電機には騒音や排気ガスの問題が常に付きまとうため、ポータブル電源であればその問題は完全にクリアできます。また、日々のメンテナンスも、使わない時に充電をしておくだけと簡単です。
ただし、出力や駆動時間は発電機と比べるとどうしても短くなりがちで、容量が大きなものは必然的に高価になります。営業中に電力が切れた場合、充電をし直さないといけないため、実質継続して使うことは不可能です。
また、温度変化に弱く、高温や低温時の環境では、性能を発揮しづらい点にも注意が必要です。普段は発電機を使用しつつ、予備電源として小さなものをひとつ導入するなど、併用を検討するとよいでしょう。
発電機は高価な道具であるため、レンタル業者からレンタルすることも可能です。ここでは、レンタルを使用する場合のメリット・デメリットを解説します。
発電機をレンタルするメリットには、以下のような点が挙げられます。
・購入価格が不要
・必要な時だけ使える
・メンテナンスが不要
・保管場所の確保が不要
発電機をレンタルするメリットはなんといっても「必要な時だけ使える」点にあります。保管にはある程度の場所を取る必要があるため、その点においても有利です。定期的なメンテナンスが必要な道具ですが、レンタルであれば業者が普段整備をしているため、その点においても安心です。
・長い目で見るとお金がかかる
発電機をレンタルするデメリットは「所有できない点」に集約されます。レンタル料金は業者や機材によって変わりますが、1日あたり3000円~10000円程度するため、毎日のように使用するなど使用頻度が高い場合、レンタル料を毎回支払うよりも購入した方が安くなります。また、レンタル業者に毎度取りに行く・返しに行くなどの手間がかかる点にも注意が必要です。
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本記事ではキッチンカーの「発電機」について解説してきました。営業スタイルにもよりますが、キッチンカーの開業において、電力供給手段を確保することは「必須」と言っていいでしょう。
発電機やポータブル電源などをうまく併用し、安定した電力で商品提供や営業活動に役立ててください。
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