近年、起業に人気のキッチンカー。キッチンカーを運営するうえで欠かせないのが排水の適切な処理です。どこで排水を捨てるべきか、また何を守れば安全なのか。事前に捨て方やルールについて理解し、キッチンカーの健全な運営に努めましょう。
この記事では、各自治体の対応や法律上の規制、さらに給排水タンクの選び方や手入れのポイントまで解説します。この記事は、こんな方におすすめです。キッチンカーから出る排水を、営業している現地にある排水口や側溝へ捨てることはできません。
特に公園や道路脇の側溝など、公共の場所へ排水を流す行為は法律違反となる可能性があります。環境面や近隣への配慮という観点だけでなく、トラブル回避や営業許可維持のためにも、適切な場所を選ぶことが重要です。実際には多くのキッチンカー事業者が排水を自宅や仕込み場所まで持ち帰り、シンクや専用の排水口に流しています。こうすることで、処理ルールに違反するリスクを減らし、安全かつ衛生的に営業を続けることができます。キッチンカーによって出る排水の量がそれほど多くない場合は、シンクなどの家庭や仕込み場所の排水口を利用する方法が最も一般的です。少量の排水をこまめに移動させられるため、衛生的に扱いやすいのがメリットになります。ただし、油分や食材くずが混ざっている場合は、事前にこし器やフィルターですくい取ってから流すと、排水管の詰まりや悪臭を防げます。
■トイレに流してもいい?
少量であれば理論上は可能ですが、トイレの排水口から一度に大量の排水を流すのは大きな負担になります。詰まりを引き起こしたり、悪臭の原因になったりするため、あまり推奨できる方法ではありません。トイレへの排水を検討する場合は、極力少量であること、そして他人が利用するトイレではなく自宅や専用スペースのトイレを利用するなど、衛生面に特段の注意が必要です。
調理工程によって大量の排水が発生する場合には、汚水桝へ直接流し込んで捨てる方法があります。汚水桝に直接捨てることで、下水道へスムーズにつながるため詰まりを起こしにくく、処理が簡単になるという利点があります。ただし、汚水桝に捨てる場合も固形物や大きな油かすなどは事前に分別し、周囲や下水への負担を減らす工夫が必要です。
汚水桝の一例 画像素材:PIXTA
■汚水桝の形状
汚水桝は一般的にコンクリートまたは樹脂製の小さな箱状の構造で、フタを開けて排水を流せるようになっています。これが下水道とつながっており、家庭のトイレやキッチンからの汚水もいったんここを通って流れていきます。大量の排水を一気に流す場合でも、ある程度キャパシティがあるため、詰まりにくいのが利点です。
■汚水桝はどこにある?
汚水桝は、一軒家の場合は敷地や駐車スペースの地面下に設置されていることが多く、フタが見えるのが目印です。店舗やビルなどの建物でも、裏口周辺などに設置されているケースが一般的です。営業先や自宅にある汚水桝を把握しておき、利用の許可が得られるかも含め事前に確認することが大切です。
キッチンカーで生じた排水は、捨てるときの方法やタイミングを誤ると、衛生面や設備面でトラブルを招く可能性があります。
大量の水を一気に捨てると、排水管や汚水桝、トイレなどが詰まるおそれがあります。適量をこまめに廃棄するなど、設備に無理をかけない対応が必要です。また、排水タンク自体の清掃も定期的に行うことが重要です。目安として週に2回程度洗浄液を用いた除菌を行い、悪臭やカビの発生を防ぐとともに、衛生レベルを維持しておきましょう。廃油や大型の食材くず、油かすなどの固形物は、排水管の詰まりや異臭の主な原因となります。キッチンペーパーや専用の油捨てパックなどでしっかり固形化させて廃棄し、液体部分だけを排水口に流す習慣を徹底しましょう。小さなゴミや食材くずも、フィルターや受け皿でキャッチしてから捨てることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
公園や道路の側溝など、公共の場所へ勝手に排水を捨てると、法令遵守の観点から重大な違反行為となる可能性があります。
キッチンカーの排水処理による違反が発覚すると、保健所や警察などの行政機関から指導・処罰を受けるリスクがあります。排水トラブルは営業許可の取り消しにつながるリスクもあるため、日常的な行為のひとつとして決して軽視できません。排水処理のルールを守らないと周囲の環境や近隣の住民に悪影響を与えるだけでなく、自身のビジネス継続にも大きな打撃を与える結果となります。正しく処理を行うことで、顧客や地域社会からの信頼も得やすくなり、長期的な事業発展につながっていくでしょう。ルールは営業地を管轄する保健所によって異なりますが、公共の場所へ捨てることは等しく禁じられています。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137キッチンカーでの営業を予定している地域の保健所や管轄自治体に事前相談し、詳しい指針や条例を確認しておくとよいでしょう。特にイベントや催事などに参加する場合は、イベント主催者が排水設備を用意していることもあるため、現場ルールとのすり合わせが重要です。画像素材:PIXTA
そもそもキッチンカーにはなぜ給排水タンクが必須なのでしょうか。その背景には、キッチンカーという「移動型の飲食店」である点が挙げられます。
移動販売であっても、飲食物を扱う以上は適切な水を確保し、発生する排水を衛生的に処理する仕組みが欠かせません。給水タンクと排水タンクをセットで備えることで、外部に排水設備がない場所でもスムーズに調理や洗浄ができます。自治体や保健所の基準でも、給水タンク・排水タンクの設置は営業許可を得るための前提条件になっています。タンクを設置していないキッチンカーが営業を許可されることはないため、必要性をしっかり理解したうえで準備を進めましょう。保健所の営業許可を申請する際、キッチンカーの給排水設備は必須の要件です。水を使った調理や食器・器具の洗浄が可能かどうか、排水の適切な処理はできるかなど、衛生管理を確認されます。タンクの容量や設置方法は、保健所によって基準が異なるため、事前に相談して仕様を確認しましょう。
営業許可に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。【2025年最新版】キッチンカーの営業許可を取得するには? 保健所への申請手順を詳しく解説
キッチンカーで提供できるメニューは、どのくらいの水を使用できるかによって大きく変わります。特に調理工程で湯を沸かしたり、食材を洗ったり、器具を洗浄したりするには、水が充分に使える状態であることが重要です。
給排水タンクの容量をどの程度に設定するかによって、提供できるメニューや営業スタイルに差が出てきます。
キッチンカーで想定しているメニューや営業時間、使用する水の量を考慮してタンクの容量を決定しましょう。小さすぎると頻繁に水を補充・排水しなければならず不便ですが、大きすぎるとコストが上がるだけでなく、車両スペースを圧迫してしまいます。40リットルのタンクは比較的コンパクトなので、手軽に導入できるメリットがあります。移動もしやすいため、ドリンク系の簡単なサービスや短時間の出店にぴったりです。洗い物が少ないメニューであれば、この容量でも十分に対応できる場合が多いです。
■できる作業
40リットルのタンクを設置したキッチンカーでは、1工程の調理まで許可されます。ドリンクの提供や軽い洗浄作業など、水の使用量が限られる工程が中心となります。少量の調理や食品の下ごしらえ程度なら支障なく行えるでしょう。
■向いているメニュー
40リットルの給排水タンクの場合、メニューは1品のみ取り扱いが可能です。コーヒーやジュースなどの飲料系がメインで、加熱や長時間の洗浄作業を必要としないメニューが向いています。飲食スペースがない場所やイベントでも身軽に対応できるのが利点です。
80リットルクラスになると、ある程度の水を必要とする調理工程にも対応しやすくなります。例えばランチメニューや、丼もの、スープ類など、湯沸かしや洗浄が幅広く必要な提供形態でも安定して水を確保できるでしょう。
短時間のイベントだけでなく、日常的な移動販売を行う際にも利便性の高い容量として人気があります。■できる作業
80リットルのタンクを設置したキッチンカーでは、2工程の調理までが許可されます。焼き物・炒め物などに使う少量の水を用意したり、食器や調理道具を複数回洗浄する作業をこなせます。食材を洗ったり、衛生度を保つためのこまめな手洗いや器具洗いにも十分対応できる容量です。
■向いているメニュー
80リットルのタンクは複数のメニューを取り扱うことができます。丼もの、スープ類など、水をある程度使う調理工程を伴うメニューに適しています。加熱調理と組み合わせる際も、水の補給頻度を抑えられるためスムーズに業務を進められるでしょう。
200リットル級のタンクは長時間のイベントや、大型のフェスなどでも安心して使用できる大容量です。多数のメニューを同時に提供したり、一日に何度も仕込や洗浄が必要なシーンでも、安定した水供給を維持しやすくなります。
ただし、サイズが大きいだけにコストや車両内のスペースを考慮する必要があります。必要に応じてバランスのよい容量選びが求められるでしょう。■できる作業
麺類をはじめ、大量調理や複数の調理工程を同時進行することが可能です。汁物や煮込み料理、揚げ物など、油や湯を度々交換するようなメニューでも水切れを起こしにくいため、安定した提供が期待できます。
■向いているメニュー
長時間イベントでのフルメニュー展開や、揚げ物、煮込み料理など幅広いジャンルに対応できます。こまめな水の入れ替えや排水の手間を減らしたい場合に特におすすめです。
画像素材:PIXTA
給排水タンクの入手方法は多岐にわたりますが、コストや設置の手間、保健所の基準を総合的に考慮することが大切です。
通常はキッチンカーを新規に制作する際にタンクを用意してもらうのが一般的です。この場合、車両のスペースに合わせて最適なサイズを選べるのが利点です。すでに車両を所持しており、これから給排水設備を整えたいという場合は、自分でタンクを購入して設置することも可能です。オンラインショップやホームセンターなどで販売されているので、利用シーンや衛生基準に合ったものを選びましょう。新車を購入してキッチンカーに改装する場合、車内のレイアウトやドア位置などを考慮した上で給排水タンクを取り付けてくれます。専門家の視点で衛生管理の基準を満たしやすい設計をしてくれるため、手間を減らして確実に設備を整えたい人に向いています。
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コストを抑えたい方は、自力でタンクを設置する方法も選択肢に入ります。ただし車両の床や壁の強度、排水口の位置などを考慮しつつ取り付ける必要があるため、ある程度車両改造に関する知識と技術が求められます。
自力で取り付ける場合、必ず事前に保健所の基準を確認し、保健所の担当者からアドバイスを受けると安心です。■ネットで購入する
オンラインストアでは小型から大型まで、幅広い容量や素材のタンクが販売されています。複数のショップやメーカーを比較できるため、価格やサイズの選択肢が豊富です。口コミやレビューを参考にして、実際の使い勝手を想定しながら選びましょう。
■ホームセンター等で購入する
実店舗で現物を確認しながら購入したい場合は、ホームセンターや専門ショップに足を運ぶ方法があります。ただし店頭在庫が限られていることもあるため、特殊なサイズや大容量のタンクが欲しい場合は事前に取り寄せができるかどうかも確認しましょう。
給排水用のポリタンク 画像素材:PIXTA
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