開業するならキッチンカーと店舗型飲食店どっち? 家賃比率や初期費用を比較

キッチンカー開業
公開日:2024/07/22 更新日:2024/12/18
書類を見ながら考える飲食店店員と業者

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「飲食店を開業したい」と考えた時、店舗型だけではなく「キッチンカー(フードトラック、フードカー)」という新しい選択肢を選ぶ人が増えています。その背景には初期費用や固定費の安さがありますが、店舗型飲食店の固定費と比較・解説します。

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店舗型飲食店の家賃比率の目安「10%」に対して、キッチンカーの固定費は?

店舗型飲食店にとって、毎月必ず支払わなければいけない固定費のひとつが「家賃」です。店舗型飲食店の「家賃比率」とは、売上に対してその家賃がどれほどの割合を示しているかを示す数値で、一般的な目安として「10%」がひとつの基準とされています。

店舗型飲食店でよく言われる言葉で「家賃は3日で稼げ」というものがありますが、これは月30日の1/10(10%)で家賃を稼ぐ、と考えると「家賃比率10%」と概ね同じ意味になっています。

この家賃比率の目安「10%」を逆に考えれば、家賃によって月々上げるべき売上の目安が決まるということです。たとえば、月々の家賃が15万円の物件を借りた飲食店の場合、必要な売上は150万円になります。

実際には規模感(席数や従業員の人数)や家賃以外の諸経費も店によって変わるため、一概には言い切れないのですが、ひとつの目安としては参考になります。また、開店したばかりの店舗型飲食店では家賃比率を10%にすることはかなりハードルが高く、20%程度をひとつの目標にすべきとの考え方もあります。

この考え方は、キッチンカーにも当てはまるのでしょうか。 結論からいえば、キッチンカーには「家賃」がありません。光熱費やガソリン代、駐車場、保険料など、車の維持にかかる費用が「家賃」といえますが、キッチンカーと店舗型飲食店の経費や売上の考え方は似て非なるものです。

「家賃比率10%」という考え方をそのままキッチンカーに取り入れることは難しいと考えていいでしょう。

店舗型飲食店と比較して、キッチンカーが「初期費用を抑えて開業できる」のは本当?

店舗型飲食店と比べて、キッチンカーは初期費用を抑えて開業ができると いわれています。日本政策金融公庫総合研究所の発表によると、2022年の飲食店開業費用における平均は「1077万円」でした。

店舗型飲食店の場合、物件の取得費用や内外装の工事費、機材費などがかかるため、金額が大きくなってしまいます。一方、キッチンカーの初期費用の大半は「車取得にかかる費用」となるため、中型タイプで250~350万円、大型で400~600万円と、比較する飲食店の規模にもよりますが、一般的に安く開業費用を抑えられます。

また、飲食店同様にキッチンカーも新規参入や廃業が活発なため、中古車市場も充実しており、中古車で開業を考える場合さらに100万円程度費用を抑えられるでしょう。

車取得にかかる費用や相場については、以下の記事でも詳しく解説しています。

▼キッチンカーを購入するなら新車と中古どっち? それぞれのメリットや相場を解説

また、レンタル・リースを利用すると、より初期費用を抑えられます。

▼キッチンカーはレンタルで開業できる? リースとの違いや相場感を解説

青空の下で営業するキッチンカー

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店舗型飲食店とキッチンカー、それぞれどんな人が向いている?

店舗型飲食店とキッチンカーの大きな違いは、その営業スタイルです。 店舗型飲食店はお客が来るのを待つことになりますが、キッチンカーはお客のいる場所に行くスタイルです。

飲食店で働いた経験はどちらで独立しても活かすことができますが、根幹となるスタイルの違いには、向き不向きがあるといえるでしょう。

1)店舗型飲食店での起業に向いている人

・提供したいメニューが多数ある人
・従業員を雇い、分業してビジネスを拡大させたい人
・空間づくりにこだわりたい人
・立地や場所にこだわりがある人

店舗型飲食店は、その「空間」を総合的にプロデュースできることが特徴で、そこを魅力に感じられる人に向いています。厨房もキッチンカーと比べて広くとることも可能なため、複数のスタッフで多彩なメニューを提供でき、お店の「個性」をメニューや空間全体で表現できます。

多店舗展開などのビジネス拡大においても、店舗マネジメント能力を身に着けておくことに損はないため、将来のビジョンがはっきりしている人にとっても店舗型飲食店を選ぶ意味は大きいといえます。

2)キッチンカーでの起業に向いている人

・リスクを抑えて起業したい人
・特定の立地にこだわりがない人
・すべて自分でやることが苦にならない人
・自由な働き方が好きな人
・車が好きな人

初期費用や維持費が少なく済むキッチンカーは、リスクが少なく、一人での起業に向いています。また小型のキッチンカーの場合、仕込みや調理、接客まで基本的には自分自身で行うため、ワンオペが苦にならない人に適正があるといえます。

キッチンカーは移動しながら営業ができることが最大の特徴であり、そこがメリットやデメリットにも繋がります。営業する場所や時間を選べる自由な働き方ができる一方、固定客がつきづらく、天候やタイミングなど不確定な要素に左右されやすいため、柔軟な対応が求められます。

キッチンカーに興味があれば、モビマルセミナーへ

店舗型飲食店とキッチンカー、どちらも「飲食店」というカテゴリーですが、費用面や実際の運用においては別物といっていいほどの違いがあります。少人数で自由度の高いビジネスを構築したい人であれば、キッチンカーは独立の選択肢として良きものとなるでしょう。

「モビマル」はキッチンカーを出店したいオーナーと出店場所を探している土地管理者のマッチングサービスです。これからキッチンカーを始めたい人へのサポートも行っています。

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この記事を監修した人
太田 明男
一般社団法人日本移動販売協会 代表理事
1992年リクルートに入社。
2019年に「一般社団法人日本移動販売協会」を創立。移動販売のマッチングサービス「モビマル」を関西圏からスタートし、現在全国に展開中。