キッチンカーで利用できる補助金・助成金は? 初期費用ゼロでも開業できる?

キッチンカー開業
公開日:2024/05/20 更新日:2024/08/02
飲食店の女性がパソコンを見ながら考えている写真

画像素材:PIXTA

近年、費用を抑えて開業できることから注目を集めているキッチンカー(移動販売車)。そのなかでも自己資金をなるべく抑えて開業する方法はあるのでしょうか。今回は資金を抑えてキッチンカーを開業するための方法を解説していきます。

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キッチンカー(フードトラック/移動販売車)は補助金を利用すれば自己資金なしでも開業できる?

キッチンカーは補助金を利用すれば、自己資金なしでも開業できるのでしょうか? まず、キッチンカーの開業費用は車両や設備購入にかかる「初期費用」と、月々の運営にかかる「運転資金」の2つに分けられます。それぞれにかかる費用を以下に挙げています。

【初期費用】
・車両購入(車両改装費が別にかかる場合もあり)
・設備購入料金
・営業許可取得費/食品衛生責任者取得費

【運転資金】
・燃料代(ガソリンと光熱費)
・容器・カトラリー等の消耗品費
・出店料
・駐車場代
・広告費・販売促進費用
・人件費(個人でやる場合は生活費)

店舗型の飲食店と比較して資金を抑えて開業できるキッチンカーですが、店舗型と同様に多岐にわたって費用が必要になります。

さらに、補助金や助成金には「補助上限額」「補助率」というものがあります。例えば、100万円かかる設備の導入に対して、「補助上限額」が100万円「補助率」が“1/2”の助成金を利用する場合、100万円すべてが補助の対象にはならず、補助率をかけた50万円が補助の対象になります。つまり、補助率を引いた残りは自己負担になるということです。

よく言われる「自己資金なし」や「初期費用ゼロ」で開業は、残念ながら「できない」と言えるでしょう。費用の相場感については以下の記事でも詳しく解説しています。

▼300万円あれば開業できる? キッチンカー開業にかかる費用と相場感を解説

助成金や補助金を利用しつつ、なるべく資金を抑えてキッチンカーを開業する方法は?

キッチンカーの初期費用の大半は、車の取得にかかる費用です。その相場は新車の場合、200~500万円が相場と言われています。初期費用を抑えて車を取得するには、以下のような方法が考えられます。

1.中古車でキッチンカーを購入する

新車の場合、100万円~程度の車に改装費がかかるため、あらかじめ設備が整った中古のキッチンカーを購入すれば、費用を安く抑えることができます。

2.レンタル・リースを利用する

長い目で見れば割高になりますが、初期費用を抑えるという意味ではキッチンカーのレンタル・リースも十分選択肢に入ります。毎月のコストに車両代が入るため、利益の予測もしやすいなど会計上のメリットも得られるでしょう。

3.車を自分で改装する

持っている車を自分で改装することができれば、費用は車と設備の実費代だけとなり、かなり安く抑えることができます。しかしながら、電気工事・ガス工事といったさまざまな専門技術も必要であり、時間もかかるため、自動車改造を仕事や趣味にしているという方以外にはおすすめできない手段です。

当サイト「モビマル」ではキッチンカー購入のサポートを行っています。新車・中古車からのキッチンカー製作から、難しい営業許可取得まで。あなたのこだわりを形にするお手伝いをいたします。

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キッチンカーの前で談笑する女性と女性店員の写真

画像素材:PIXTA

全国のキッチンカー開業に使える補助金・助成金

キッチンカーを開業する際に使える助成金には「地元での起業をサポートするもの」「業態転換をサポートするもの」「若い人の起業をサポートするもの」などが各地の自治体で用意されている場合があります。まずは開業を考えている自治体の助成金をチェックしてみましょう。

このページでは、いくつか代表的なものを紹介します。

※2024年5月時点での情報です

■山形県で利用できるキッチンカーの補助金・助成金

●やまがたチャレンジ創業応援事業

山形県内での創業を支援する助成金。地域ニーズにマッチした事業や、街の賑わい創出につながる事業、独自性ある事業などの創業を支援。応募制で、7月中の採択によって助成金の交付が決定されます。

・申請期間:受付中~2024年6月21日(金)
・補助上限額:<一般型>50万円~最大140万円、<地域課題解決型>100万円
・補助率:1/2、2/3(内容により異なる)

▼やまがたチャレンジ創業応援事業

●新庄市移動調理販売車両導入支援事業費補助金

山形県新庄市を拠点に活動し、新たにキッチンカー事業を始める中小企業を対象にした制度。個人・法人どちらも利用可能です。

・申請期間:受付中~2024年5月31日(金)
・補助上限額:100万円
・補助率:1/3

▼新庄市「新庄市移動調理販売車両導入支援事業費補助金について」

■千葉県で利用できるキッチンカーの補助金・助成金

●南房総市がんばる事業者支援事業補助金(移動販売導入支援事業)

市内における起業や既存事業の機能強化、新たな分野への取組や地域雇用を創出する事業者を支援する制度。複数のメニューの中で「移動販売導入支援事業」がキッチンカーの開業に利用できます。

・申請期間:受付中~2024年12月26日(木)
・補助上限額:100万円
・補助率:経費の30%

▼【令和6年度】南房総市がんばる事業者支援事業補助金(移動販売導入支援事業)

■神奈川県で利用できるキッチンカーの補助金・助成金

●令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金

神奈川県内の中小企業を対象に、生産性向上の設備投資等を助成する制度。「機械装置費」の例にキッチンカーが挙げられています。今年度の公募期間は残りわずかですが、例年実施されているので事業計画に組み込むこともできるでしょう。

・申請期間:受付中~2024年5月31日(金)
・補助上限額:500万円
・補助率:1/2

▼神奈川県「令和6年度中小企業生産性向上促進事業費補助金について」

■富山県で利用できるキッチンカーの補助金・助成金

●南砺市創業チャレンジ支援事業補助金

南砺市で飲食業のお試し出店を支援する助成金。市で指定するレンタルスペースやキッチンカーの使用料および賃貸料が補助の対象。

・申請期間:受付中~2025年3月31日(月)
・補助上限額:10万円
・補助率:1/2

▼南砺市「南砺市創業チャレンジ支援事業補助金のお知らせ」

キッチンカーへの業態転換に使える補助金・助成金

すでに何らかの事業を行っている場合、業態転換をサポートする助成金を利用することができます。

<事業再構築補助金>

事業再構築(新分野展開、業種・業態・事業転換、事業再編等)に取り組む中小企業等を支援するための制度で、申請には「認定経営革新等支援機関による事業計画の確認」や「付加価値額の向上(申請枠毎に異なる)」などを満たす必要があります。

「成長枠」、「グリーン成長枠」、「卒業促進枠」、「大規模賃金引上促進枠」、「産業構造転換枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」などさまざまな枠が用意されています。

・補助上限額:100万円~1.5億円(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・補助率:1/2~3/4(※申請枠や企業規模等によって異なる)
・補助対象経費:建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費等

▼事業再構築補助金

<ものづくり補助金>

革新的サービスや試作品の開発、生産プロセスの改善等を行う、中小企業等を支援するための制度です。「通常枠」、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」、「グローバル市場開拓枠」が設けられています。

基本要件として「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」、「事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い」、「付加価値額を年率平均3%以上増加」を満たす3~5年の事業計画策定、実施する必要があります。

・補助上限額:100万円~4,000万円(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・補助率:1/2~2/3(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等

▼ものづくり補助金

<小規模事業者持続化補助金>

小規模事業者等の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する補助金です。「通常枠」、「賃金引上げ枠」、「卒業枠」、「後継者支援枠」、「創業枠」などの枠があります。インボイス特例が設けられており、「免税事業者から適格請求書発行事業者への転換」などの要件を満たした事業者は、補助上限額が50万円上乗せされる制度です。

・補助上限額:通常枠=50万円、賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠=200万円(※インボイス特例適用事業者は50万円上乗せ)
・補助率:2/3(※賃金引上げ枠のうち、赤字事業者は3/4)
・補助対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費

▼小規模事業者持続化補助金

開業を考えた時「何が利用できるか」をよく調べよう

補助金・助成金は限られた応募期間の中で要件を満たし応募する必要があるため、自らが開業を考える自治体でどんな制度を行っているかを調べる必要があります。

過去にやっていたものが再度行われるかは、自治体に問い合わせると教えてくれることもあるため、開業計画を考える時に、どのような制度が利用できそうかをよく調べてみるとよいでしょう。

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この記事を監修した人
太田 明男
一般社団法人日本移動販売協会 代表理事
1992年リクルートに入社。
2019年に「一般社団法人日本移動販売協会」を創立。移動販売のマッチングサービス「モビマル」を関西圏からスタートし、現在全国に展開中。