キッチンカーで保健所の営業許可を取得する方法は? 最新の設備基準も解説

キッチンカー開業
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キッチンカーを開業するには、保健所で営業許可を取得する必要があります。準備を進める中で、多くの人が壁に感じるのがその手続きです。複雑な設備基準や聞き慣れない専門用語、さらに法改正によるルールの変化などに、戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、事前に正しい知識を持ち、手順に沿って準備を進めれば決して難しいものではありません。この記事では、保健所での申請手続きから車両審査のポイントまで、キッチンカーの営業許可取得に必要な情報を分かりやすく解説します。

この記事は、こんな人におすすめです

・これからキッチンカーの開業準備を本格的に始める方
・保健所の営業許可に必要な設備基準や条件を知りたい方
・申請手続きにかかる費用や期間の目安を把握しておきたい方
・令和3年の法改正による出店ルールの変更点を知りたい方

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なぜキッチンカー営業に保健所の許可が必要なのか

キッチンカー(移動販売)で飲食物を販売するためには、出店を予定している地域を管轄する保健所の営業許可を必ず取得しなければなりません。これは、お客様に安全な食品を提供し、食中毒などの事故を未然に防ぐために、食品衛生法という法律で厳しく義務付けられているからです。

もし許可を得ずに出店して営業してしまうと、無許可営業として食品衛生法違反となり、懲役や罰金などの重い罰則が科せられる可能性があります。お客様や出店場所の提供者からの信頼を失うだけでなく、事業そのものを継続できなくなってしまうため、法令遵守は移動販売運営の基本中の基本と言えます。

【参考】厚生労働省「食品衛生申請等システム」

食品衛生法に基づく営業許可の基本

キッチンカーにおける営業許可は、食品衛生法における「自動車営業」という枠組みに分類されます。そのため、お店を構える固定店舗とは異なり、移動販売を行う車両ならではの設備基準が設けられているのが特徴です。キッチンカーでビジネスを始める際は、まずこの自動車営業の許可を各都道府県や自治体の保健所に申請し、要件を満たしているか審査を受けることからスタートします。

令和3年の食品衛生法改正による変更点

キッチンカーの営業許可において、必ず知っておくべき重要なトピックが令和3年(2021年)6月に施行された食品衛生法の改正です。この改正により、営業許可業種が大幅に再編され、手続きの簡素化や全国的な基準の統一化が進みました。

以前は、提供するメニューによって飲食店営業や喫茶店営業など細かく許可が分かれていましたが、法改正後は原則として一つの営業につき一つの許可を取得する「1営業1許可」の考え方が導入されました。さらに、これまで都道府県内でも複数の保健所で許可を取らなければならなかったケースが、一度の申請で都道府県全域をカバーできるようになるなど、複数の地域にまたがる出店が格段にしやすくなっています。

【参考】 厚生労働省「食品衛生法の改正について」

キッチンカーで保健所の営業許可を取得するための必須条件

保健所から営業許可をもらうためには、大きく分けて人に関する条件と、場所や設備に関する条件の2つをクリアする必要があります。どちらか一方が欠けていても許可は下りないため、事前の入念な出店準備が欠かせません。

食品衛生責任者の資格取得

まず人に関する条件として、キッチンカーで営業を行う際には、必ず1名以上の食品衛生責任者を配置することが義務付けられています。食品衛生責任者は、食中毒予防や衛生管理に関する基礎知識を持っていることを証明する大切な資格です。

この資格は、各都道府県の食品衛生協会などが主催する講習会を丸1日受講するだけで、特別な試験などもなく誰でも比較的簡単に取得することができます。調理師や栄養士などの国家資格を持っている方は講習会が免除されますが、そうでない場合は予約が埋まりやすいため、移動販売の開業を決めたら早めに受講の申し込みをしておきましょう。

【参考】 厚生労働省「食品衛生責任者について」

衛生的な仕込み場所の確保

次に場所に関する条件ですが、キッチンカーの車内での調理には衛生上の制限があります。限られたスペースと設備のため、生肉や魚の下処理、大量の野菜のカットといった大掛かりな仕込み作業は車内で行うことが認められないケースがほとんどです。

そのため、事前に下ごしらえをするための、保健所の衛生基準を満たした仕込み場所を別途確保しなければなりません。仕込み場所にも飲食店営業などの許可が必要となるため、ご自宅の生活用キッチンをそのまま使うことはできず、専用の調理場を借りるか、シェアキッチンなどを活用することになります。仕込み場所探しでお困りの場合は、後述するモビマルのサポートもぜひご活用ください。

キッチンカーの設備基準とチェックポイント

保健所の審査において最も重要なのが、キッチンカーの車両そのものが設備基準を満たしているかどうかです。ここでは、審査でチェックされる全体像は以下の通りです。

<図版作成>

次項より、特に不備を指摘されやすいポイントについて解説します。

運転席と調理場の完全な仕切り

衛生管理を徹底するため、運転席などの非衛生的なエリアと、調理を行うスペースは完全に区画されていなければなりません。具体的には、透明なアクリル板や壁などでしっかりと仕切りを設け、運転席側のほこりや汚れが調理場に入り込まない構造にする必要があります。隙間が空いていると審査に通らないことがあるため、車両を製作する段階でしっかりと密閉できるよう設計することが大切です。

手洗い場とシンクの設置ルール

車内には、従業員が手を洗うための専用の手洗い設備と、調理器具や食材を洗うためのシンクの設置が義務付けられています。手洗い設備には、手洗い用の石鹸や消毒液を常備し、蛇口はレバー式やセンサー式など、汚れた手で直接触れずに水を止められる構造であることが求められます。また、シンクは原則として2槽以上必要とされることが多く、用途に応じて使い分けられるようにしなければなりません。

取扱品目によって変わる給排水タンクの容量

キッチンカーに搭載する給水タンクと排水タンクの容量は、提供するメニューの内容や調理工程によって求められる基準が変わります。令和3年の法改正以降の基準の目安は以下の通りです。

タンク容量 提供できるメニュー・調理工程の目安
約40リットル 既製品の温め、飲料を注ぐだけなど、極めて簡易な調理(単一品目)
約80リットル 焼く、揚げるなどの加熱調理を伴うもの(複数品目も可)、食器を使い捨てにする場合など
約200リットル 大量の水を使用する調理、生野菜の洗浄、通常の食器を使用する場合など、複数の複雑な工程を伴うもの

提供したいメニューがどのタンク容量に該当するかは、出店を管轄する保健所によって判断が異なる場合があります。後からタンクを載せ替えるのは大掛かりな工事になるため、車両を作る前に必ず確認が必要です。

キッチンカーの営業許可取得については、以下の記事でも詳しく解説しています。

【2026年最新】キッチンカー営業許可の完全ガイド 取得手順を5ステップで徹底解説

保健所での申請手続きから営業開始までの流れ

設備基準を理解したところで、実際に保健所で手続きを進める際の流れを時系列で確認していきましょう。大きく分けて、事前相談、書類提出、車両検査、許可証交付のステップで進みます。

車両製作前の事前相談が成功の鍵

スムーズに許可を取得するための最大のポイントは、キッチンカーの車両を製作する前に、必ず図面を持参して管轄の保健所へ事前相談に行くことです。完成した車両を持ち込んでから設備基準の不備が発覚すると、高額な改修費用と時間がかかってしまいます。図面の段階で保健所の担当者に確認してもらい、問題がないかお墨付きをもらってから製作に取り掛かるのが失敗しない鉄則です。

保健所への営業許可申請に必要な書類一覧と書き方

車両の完成が見えてきたら、保健所へ営業許可の申請を行います。申請には、営業許可申請書、キッチンカーの平面図や設備の詳細を記した営業設備の大要、食品衛生責任者の資格を証明する手帳などの原本が必要です。申請書や営業設備の大要には、車両の寸法や使用する材質、タンクの容量などを正確に記載する必要があります。書き方に迷った場合は、事前相談の際に担当者に確認しながら記入を進めるとスムーズです。法人の場合は登記事項証明書などが求められることもあります。

キッチンカーの営業許可取得にかかる費用・手数料の相場

営業許可の申請には手数料がかかります。この費用は申請する自治体によって異なりますが、一般的には数千円から2万円程度が相場です。例えば、自動車での飲食店営業の場合、おおむね1万5千円前後になることが多いようです。予算を立てる際には、事前に管轄の保健所のホームページなどで正確な金額を確認しておきましょう。

申請から許可が下りるまでの期間

申請書類を提出し、無事に車両検査に合格したからといって、その日のうちにすぐ出店して営業を始められるわけではありません。書類提出から車両検査を経て、実際に許可証が手元に届くまでには、通常1週間から2週間程度の期間を見込んでおく必要があります。オープン予定日が決まっている場合は、スケジュールから逆算して余裕を持った申請手続きを心がけてください。

車両検査の当日の流れと確認事項

書類申請後、指定された日時に完成した移動販売車を保健所へ持ち込み、担当者による実車検査を受けます。この検査では、提出した図面通りに設備が配置されているか、シンクから水は出るか、冷蔵庫に温度計は設置されているかなど、細かなポイントをチェックされます。当日に慌てないよう、事前に自社でも設備の動作確認を入念に行っておくことが大切です。

営業許可書の交付と定期的な更新手続き

車両検査に無事合格すると、数日から数週間後に営業許可証が交付されます。これで晴れてキッチンカーでの営業をスタートすることができます。ただし、営業許可には有効期限があり、一般的には5年から8年程度に設定されています。有効期限が切れる前に更新手続きと再検査が必要になるため、許可証の期限はしっかりと管理しておきましょう。

スムーズに審査を通過するためのアドバイス

最後に、保健所の審査でつまずかないための重要なアドバイスと心構えをお伝えします。

出店地域ごとのローカルルールの違いに注意する

令和3年の法改正によって全国的なルールはある程度統一されましたが、実際の運用や細かな設備基準に対する見解は、各自治体の保健所によって依然として異なる場合があります。ある地域では許可された設備が、別の地域では不十分と判断されるといったローカルルールが存在するのが実情です。そのため、他の地域で通ったから大丈夫と思い込まず、出店を予定しているすべての地域の保健所へ、必ず個別に事前確認を行うようにしてください。

保健所の担当者と円滑にコミュニケーションを取るコツ

営業許可の審査を行うのは保健所の担当者であり、彼らも食の安全を守るという重要な責任を持っています。そのため、事前相談や審査の際には、真摯で謙虚な姿勢で対応することが非常に重要です。分からないことは素直に質問し、指摘を受けた箇所は速やかに改善する意思を示しましょう。また、車両の図面や出店時に提供したいメニューの詳細がわかる資料をしっかりと準備していくことで、担当者も具体的なアドバイスがしやすくなり、結果として審査がスムーズに進みます。

キッチンカーの運営に役立つ情報は「モビマル」で

キッチンカーの開業には、保健所の営業許可だけでなく、車両の製作から出店場所の確保、そして保健所の許可にも関わる衛生的な仕込み場所探しまで、さまざまな準備が必要です。「モビマル」では、移動販売事業を成功に導くための多角的なサポートを提供しています。審査に通りやすい車両製作のための情報も充実していますので、お悩みの際はお気軽にモビマルマガジンや公式サイトをご活用ください。

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よくある質問

Q
営業許可の申請には総額でいくらくらいかかりますか?
A
保健所へ支払う申請手数料としては、数千円から2万円程度が相場です。ただし、これ以外にも食品衛生責任者の講習会受講料として約1万円や、各種証明書の発行手数料などがかかります。これらを合計して、余裕を持って準備をしておくことをおすすめします。
Q
複数の都道府県で出店したい場合はどうすればいいですか?
A
令和3年の法改正により、一つの許可で都道府県内全域の営業ができるなど、広域での移動販売は以前よりしやすくなりました。しかし、管轄する都道府県や政令指定都市が変われば、新たにその地域の保健所で営業許可を取得する必要があります。出店予定地の保健所にそれぞれ申請を行ってください。
Q
自宅のキッチンを仕込み場所として登録できますか?
A
原則として、普段の生活で使用している自宅のキッチンをそのまま仕込み場所として保健所に登録することはできません。自宅の一部を改装して住居スペースと完全に区切り、専用の手洗い設備やシンクを設けるなどの厳しい基準をクリアする必要があります。
Q
車両のタンク容量はどうやって決めればいいですか?
A
提供するメニューの数や、調理工程の複雑さによって必要な容量が変わります。既製品を温めるだけなら約40リットルなどの少量で済みますが、車内で複数の調理を行う場合や生野菜を扱う場合は大容量が必要です。後からの変更は難しいため、必ず製作前に保健所に図面を見せて相談して決めるようにしてください。
Q
無許可で出店するとどうなりますか?
A
食品衛生法違反となり、懲役や罰金などの刑罰が科せられる可能性があります。また、一度違反をすると数年間は新たな営業許可を取得できなくなるなど、事業の継続に致命的な影響を及ぼすため、必ず許可を取得してから営業を開始してください。