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近年、コストを抑えて一人でも起業できることから注目を集めている「キッチンカー」ですが、移動販売車や屋台とはどう違うのでしょうか? 一見似ているようで、その実態は大きく異なります。それぞれの特徴を知ることで、あなたに最適な開業スタイルが見えてくるはずです。
本記事では、キッチンカー・屋台・移動販売車の違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして屋台からキッチンカーへステップアップするための具体的な手順まで、詳しく解説していきます。
この記事は、こんな人におすすめです。
・キッチンカーと屋台、移動販売車の違いについて知りたい人
・キッチンカーの開業手順を知りたい人
・屋台からキッチンカーに乗り換えを検討している人
・一人でコンパクトな事業をはじめたいと考えている人
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まずは、キッチンカー、屋台、移動販売車の違いを明確にしましょう。
そもそも「移動販売車」とは、食品や物品を積んで移動しながら販売を行う車両の総称です。この大きな括りの中に、車内で調理を行う「キッチンカー」や、調理済みの弁当やパン、生鮮食品などを販売する車が含まれます。 つまり、キッチンカーは移動販売車の一つの形態である、と覚えておきましょう。本記事では、主に車内で調理を行う「キッチンカー」と、お祭りなどで見かける「屋台」を比較していきます。
特に混同されがちなこの2者ですが、特性の違いを表にまとめました。
比較項目 | キッチンカー | 屋台 |
---|---|---|
車両/設備 | 調理設備を搭載した自動車 | 組み立て式の簡易店舗、リヤカー |
初期費用 | 約250万~500万円 | 約10万~50万円 |
営業許可 | 飲食店営業許可(車両ごと) | 臨時営業許可、露店営業許可 |
提供メニューの自由度 | 高い(本格的な調理が可能) | 限定的(簡易的な調理) |
天候への強さ | 強い(車内で営業) | 弱い(雨風の影響を受けやすい) |
出店場所の自由度 | 高い(全国どこへでも移動可能) | 限定的(許可された場所のみ) |
両者の最も大きな違いは、その構造にあります。
キッチンカーは、バンやトラックなどの自動車をベースに、シンクやコンロ、冷蔵庫といった調理設備を搭載した「移動できる飲食店」そのものです。食材を積み込んで長距離を移動し、車内で本格的な調理から販売までを完結させることができます。
一方、屋台は夏祭りやイベント会場でよく目にする、組み立て式の簡易的な店舗を指します。調理台と屋根が一体となった設備で、その場で設営・撤去するのが基本です。リヤカーや自転車と一体化し、機動性を持たせたタイプも存在します。
販売スタイルも大きく異なります。キッチンカーは車内に客席がないため、テイクアウトでの販売が基本です。そのため、提供する容器も使い捨てのものが中心となります。
対照的に、屋台の中にはカウンターや簡単なテーブル席を設けることができ、その場で飲食できるスタイルも選べます。この場合は、店内で使うための繰り返し使える食器を使用することもできます。もちろん、スタンド形式の屋台では、キッチンカー同様にテイクアウトが前提となります。
キッチンカーと屋台では、開業に必要な「営業許可」の種類が異なります。これはビジネスの継続性に直結する重要なポイントです。
キッチンカーは「移動型の飲食店」として扱われ、保健所から「飲食店営業許可」を取得します。この許可は車両に対して与えられ、許可された都道府県内(または市内)の様々な場所で、期限内の間営業することが可能です。
一方、屋台の営業許可は複雑です。お祭りなど期間限定のイベントで営業するための「臨時営業許可」や、比較的長い期間営業するための「露店営業許可」などがありますが、自治体によっては「露店営業許可」の新規取得が難しいケースも少なくありません。そのため、多くの屋台はイベントごとの「臨時営業許可」に頼ることになります。
キッチンカーの開業に必要な許可や資格について、より深く知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
▼キッチンカーで開業するために必要な資格・許可は? 調理師免許は必要?
開業にかかる初期費用も、両者で大きな差があります。
キッチンカーは、車両の取得費用と厨房設備への改装費用が必要になるため、中古車をベースにしたとしても250万円~500万円程度が相場です。まとまった資金が必要ですが、一度作れば長期的に使える強固な「城」を手に入れることになります。
対して屋台は、非常に低コストで始められるのが魅力です。イベントで使われるような組み立て式のスタンドであれば数万円~10万円ほど、リヤカー屋台でも数十万円程度で開業できます。ただし、その分、日々の設営や移動、保管には手間がかかることを覚悟しておく必要があります。
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それぞれの違いを理解した上で、「自分はどちらで起業すべきか?」と悩む方も多いでしょう。ここでは、両者のメリット・デメリットを比較し、どちらがあなたに合っているかを考えていきましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
キッチンカー | ・天候に左右されにくい ・メニューの自由度が高い ・ブランドイメージを構築しやすい ・全国へ出店可能で収益機会が多い |
・初期費用が高い ・車両の維持費がかかる ・駐車スペースの確保が必要 |
屋台 | ・初期費用が圧倒的に安い ・気軽に始められる ・小回りが利く |
・天候の影響を直接受ける ・提供できるメニューが限られる ・営業許可の制約が多い ・衛生管理や保管に手間がかかる |
キッチンカー最大のメリットは、天候に左右されず、多彩なメニューを提供できる安定性です。車内という守られた空間で調理できるため、雨の日でも営業が可能です。また、充実した設備により、揚げ物から煮込み料理、本格的なカフェメニューまで、アイデア次第で様々な商品を提供できます。車両自体が広告塔となり、ブランドイメージを確立しやすいのも大きな強みです。
一方、デメリットはやはり初期費用の高さと、車両の維持費(車検、保険、駐車場代など)がかかる点でしょう。
屋台の魅力は、なんといっても圧倒的な初期費用の安さにあります。「まずは小さくビジネスを試してみたい」という方にとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。イベントに特化して出店するなど、副業として始めやすいのも利点です。
しかし、雨風といった天候の影響をダイレクトに受けるため、売上が不安定になりがちです。また、簡易的な設備では提供できるメニューが限られ、営業許可の面でも継続的なビジネス展開にはハードルがあります。
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「いきなりキッチンカーはハードルが高い…でも、いずれは自分の店を持ちたい」。そんな方には、まず屋台で経験と資金を蓄え、将来的にキッチンカーへステップアップするという道筋も非常に有効な戦略です。
屋台を始めるには、まずコンセプトとメニューを決め、必要な調理器具を揃えます。次に出店したい地域の保健所に相談し、「臨時営業」や「露店営業」など、どのような許可が必要かを確認します。許可申請と並行して、地域のイベントやお祭りなどの出店場所を探し、申し込みを行います。初期費用が低い分、フットワーク軽く準備を進められるのが屋台の利点です。
屋台からキッチンカーへの転身は、単なる乗り換えではありません。事業の拡大であり、夢へのステップアップです。
まず、屋台での営業経験を基に、より具体的な事業計画と資金計画を練り直します。屋台で人気だったメニューは、キッチンカーでも強力な武器になるでしょう。その実績は、金融機関からの融資を受ける際にも有利に働きます。
次に、コンセプトに合った車両を探し、営業許可の基準を満たす設備を整えます。「食品衛生責任者」の資格はもちろん、キッチンカーは車両ごとに営業許可を取得する必要があるため、保健所と相談しながら進めることが重要です。
キッチンカーの起業については、以下のページでも詳しく解説しています。
▼キッチンカーを開業するなら知りたい、費用・相場・資格・許可を開業ステップごとに徹底解説!
屋台であれキッチンカーであれ、ビジネスを成功させる上で最も重要なのは「メニュー選び」です。利益率が高く、調理オペレーションが効率的で、そして何よりもお客様に「食べたい!」と思わせる魅力的なメニューを開発できるかどうかが、成功の鍵を握ります。
「儲かるメニュー」の考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
▼【2025年最新版】移動販売で儲かるメニューをランキング形式で解説!
屋台からキッチンカーに乗り換えることで、あなたのビジネスの可能性は飛躍的に広がります。平日のオフィス街でのランチ出店、週末の大型商業施設、音楽フェスや全国各地のイベントなど、これまで出店できなかった場所へもアプローチが可能になります。これまでよりも安定した収益を目指せるようになり、ビジネスは新たなステージへと進むでしょう。
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