キッチンカーと屋台、移動販売車の違いを徹底比較! あなたに合う開業スタイルは?

キッチンカー開業
公開日:2024/02/26 更新日:2025/07/29

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近年、コストを抑えて一人でも起業できることから注目を集めている「キッチンカー」ですが、移動販売車や屋台とはどう違うのでしょうか? 一見似ているようで、その実態は大きく異なります。それぞれの特徴を知ることで、あなたに最適な開業スタイルが見えてくるはずです。

本記事では、キッチンカー・屋台・移動販売車の違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして屋台からキッチンカーへステップアップするための具体的な手順まで、詳しく解説していきます。

この記事は、こんな人におすすめです。

・キッチンカーと屋台、移動販売車の違いについて知りたい人
・キッチンカーの開業手順を知りたい人
・屋台からキッチンカーに乗り換えを検討している人
・一人でコンパクトな事業をはじめたいと考えている人

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キッチンカーと屋台、移動販売車の違い

まずは、キッチンカー、屋台、移動販売車の違いを明確にしましょう。

キッチンカーは「移動販売車」の一種

そもそも「移動販売車」とは、食品や物品を積んで移動しながら販売を行う車両の総称です。この大きな括りの中に、車内で調理を行う「キッチンカー」や、調理済みの弁当やパン、生鮮食品などを販売する車が含まれます。 つまり、キッチンカーは移動販売車の一つの形態である、と覚えておきましょう。本記事では、主に車内で調理を行う「キッチンカー」と、お祭りなどで見かける「屋台」を比較していきます。

【比較表】キッチンカーと屋台の違い

特に混同されがちなこの2者ですが、特性の違いを表にまとめました。

比較項目 キッチンカー 屋台
車両/設備 調理設備を搭載した自動車 組み立て式の簡易店舗、リヤカー
初期費用 約250万~500万円 約10万~50万円
営業許可 飲食店営業許可(車両ごと) 臨時営業許可、露店営業許可
提供メニューの自由度 高い(本格的な調理が可能) 限定的(簡易的な調理)
天候への強さ 強い(車内で営業) 弱い(雨風の影響を受けやすい)
出店場所の自由度 高い(全国どこへでも移動可能) 限定的(許可された場所のみ)

キッチンカーと屋台の違い(1)基本的な構造

両者の最も大きな違いは、その構造にあります。

キッチンカーは、バンやトラックなどの自動車をベースに、シンクやコンロ、冷蔵庫といった調理設備を搭載した「移動できる飲食店」そのものです。食材を積み込んで長距離を移動し、車内で本格的な調理から販売までを完結させることができます。

一方、屋台は夏祭りやイベント会場でよく目にする、組み立て式の簡易的な店舗を指します。調理台と屋根が一体となった設備で、その場で設営・撤去するのが基本です。リヤカーや自転車と一体化し、機動性を持たせたタイプも存在します。

キッチンカーと屋台の違い(2)販売形態

販売スタイルも大きく異なります。キッチンカーは車内に客席がないため、テイクアウトでの販売が基本です。そのため、提供する容器も使い捨てのものが中心となります。

対照的に、屋台の中にはカウンターや簡単なテーブル席を設けることができ、その場で飲食できるスタイルも選べます。この場合は、店内で使うための繰り返し使える食器を使用することもできます。もちろん、スタンド形式の屋台では、キッチンカー同様にテイクアウトが前提となります。

キッチンカーと屋台の違い(3)必要な営業許可

キッチンカーと屋台では、開業に必要な「営業許可」の種類が異なります。これはビジネスの継続性に直結する重要なポイントです。

キッチンカーは「移動型の飲食店」として扱われ、保健所から「飲食店営業許可」を取得します。この許可は車両に対して与えられ、許可された都道府県内(または市内)の様々な場所で、期限内の間営業することが可能です。

一方、屋台の営業許可は複雑です。お祭りなど期間限定のイベントで営業するための「臨時営業許可」や、比較的長い期間営業するための「露店営業許可」などがありますが、自治体によっては「露店営業許可」の新規取得が難しいケースも少なくありません。そのため、多くの屋台はイベントごとの「臨時営業許可」に頼ることになります。

キッチンカーの開業に必要な許可や資格について、より深く知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

▼キッチンカーで開業するために必要な資格・許可は? 調理師免許は必要?

キッチンカーと屋台の違い(4)開業・運営資金

開業にかかる初期費用も、両者で大きな差があります。

キッチンカーは、車両の取得費用と厨房設備への改装費用が必要になるため、中古車をベースにしたとしても250万円~500万円程度が相場です。まとまった資金が必要ですが、一度作れば長期的に使える強固な「城」を手に入れることになります。

対して屋台は、非常に低コストで始められるのが魅力です。イベントで使われるような組み立て式のスタンドであれば数万円~10万円ほど、リヤカー屋台でも数十万円程度で開業できます。ただし、その分、日々の設営や移動、保管には手間がかかることを覚悟しておく必要があります。

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キッチンカーと屋台、どちらで起業するのが良い?

それぞれの違いを理解した上で、「自分はどちらで起業すべきか?」と悩む方も多いでしょう。ここでは、両者のメリット・デメリットを比較し、どちらがあなたに合っているかを考えていきましょう。

メリット デメリット
キッチンカー ・天候に左右されにくい
・メニューの自由度が高い
・ブランドイメージを構築しやすい
・全国へ出店可能で収益機会が多い
・初期費用が高い
・車両の維持費がかかる
・駐車スペースの確保が必要
屋台 ・初期費用が圧倒的に安い
・気軽に始められる
・小回りが利く
・天候の影響を直接受ける
・提供できるメニューが限られる
・営業許可の制約が多い
・衛生管理や保管に手間がかかる

キッチンカーのメリット・デメリット

キッチンカー最大のメリットは、天候に左右されず、多彩なメニューを提供できる安定性です。車内という守られた空間で調理できるため、雨の日でも営業が可能です。また、充実した設備により、揚げ物から煮込み料理、本格的なカフェメニューまで、アイデア次第で様々な商品を提供できます。車両自体が広告塔となり、ブランドイメージを確立しやすいのも大きな強みです。

一方、デメリットはやはり初期費用の高さと、車両の維持費(車検、保険、駐車場代など)がかかる点でしょう。

屋台のメリット・デメリット

屋台の魅力は、なんといっても圧倒的な初期費用の安さにあります。「まずは小さくビジネスを試してみたい」という方にとって、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。イベントに特化して出店するなど、副業として始めやすいのも利点です。

しかし、雨風といった天候の影響をダイレクトに受けるため、売上が不安定になりがちです。また、簡易的な設備では提供できるメニューが限られ、営業許可の面でも継続的なビジネス展開にはハードルがあります。

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屋台で起業し、キッチンカーに転身することもできる

「いきなりキッチンカーはハードルが高い…でも、いずれは自分の店を持ちたい」。そんな方には、まず屋台で経験と資金を蓄え、将来的にキッチンカーへステップアップするという道筋も非常に有効な戦略です。

屋台営業の始め方。許可申請から出店準備までの手順

屋台を始めるには、まずコンセプトとメニューを決め、必要な調理器具を揃えます。次に出店したい地域の保健所に相談し、「臨時営業」や「露店営業」など、どのような許可が必要かを確認します。許可申請と並行して、地域のイベントやお祭りなどの出店場所を探し、申し込みを行います。初期費用が低い分、フットワーク軽く準備を進められるのが屋台の利点です。

屋台からキッチンカーへ移行するための手順

屋台からキッチンカーへの転身は、単なる乗り換えではありません。事業の拡大であり、夢へのステップアップです。

まず、屋台での営業経験を基に、より具体的な事業計画と資金計画を練り直します。屋台で人気だったメニューは、キッチンカーでも強力な武器になるでしょう。その実績は、金融機関からの融資を受ける際にも有利に働きます。

次に、コンセプトに合った車両を探し、営業許可の基準を満たす設備を整えます。「食品衛生責任者」の資格はもちろん、キッチンカーは車両ごとに営業許可を取得する必要があるため、保健所と相談しながら進めることが重要です。

キッチンカーの起業については、以下のページでも詳しく解説しています。

▼キッチンカーを開業するなら知りたい、費用・相場・資格・許可を開業ステップごとに徹底解説!

屋台・キッチンカーどちらも「儲かるメニュー」を選ぶこと

屋台であれキッチンカーであれ、ビジネスを成功させる上で最も重要なのは「メニュー選び」です。利益率が高く、調理オペレーションが効率的で、そして何よりもお客様に「食べたい!」と思わせる魅力的なメニューを開発できるかどうかが、成功の鍵を握ります。

「儲かるメニュー」の考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

▼【2025年最新版】移動販売で儲かるメニューをランキング形式で解説!

キッチンカーに乗り換えると、営業の幅が広がる

屋台からキッチンカーに乗り換えることで、あなたのビジネスの可能性は飛躍的に広がります。平日のオフィス街でのランチ出店、週末の大型商業施設、音楽フェスや全国各地のイベントなど、これまで出店できなかった場所へもアプローチが可能になります。これまでよりも安定した収益を目指せるようになり、ビジネスは新たなステージへと進むでしょう。

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よくある質問

Q
キッチンカーと屋台、結局どちらが儲かりますか?
A
一概には言えませんが、長期的に安定した高い収益を目指すのであれば、出店機会やメニューの自由度が高いキッチンカーに軍配が上がります。屋台は初期投資を早く回収しやすい一方で、収益の上限はキッチンカーに比べて低い傾向にあります。
Q
調理師免許は必要ですか?
A
いいえ、キッチンカーや屋台を開業するために調理師免許は必須ではありません。ただし、各店舗に1名「食品衛生責任者」の資格を持つ人が必要です。この資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習会を受講すれば取得できます。
Q
キッチンカーはどこでも営業できますか?
A
いいえ、どこでも自由に営業できるわけではありません。公道での無許可営業は禁止されています。公園、商業施設、イベント会場など、管理者の許可を得た私有地で営業するのが基本です。出店場所の確保が、キッチンカービジネスの成功を左右する重要な要素となります。

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この記事を監修した人
太田 明男
一般社団法人日本移動販売協会 代表理事
1992年リクルートに入社。
2019年に「一般社団法人日本移動販売協会」を創立。移動販売のマッチングサービス「モビマル」を関西圏からスタートし、現在全国に展開中。