大阪でキッチンカー(フードトラック・移動販売)を開業するには? 補助金や許可申請などを解説

キッチンカー開業
公開日:2024/09/23 更新日:2024/09/23
大阪・新世界の景色

画像素材:PIXTA


大阪は、西日本最大のビジネスエリアであり、東京と並び称される日本を代表する都市です。独特の食文化でも有名な大阪で、キッチンカーを開業するにはどうすればよいのでしょうか。補助金や許可申請など、開業に必要な情報をまとめました。

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新規参入できる? 大阪のキッチンカー(フードトラック・移動販売)事情

大阪は、兵庫・奈良・京都など、近隣府県から出勤してくる人々でランチタイムのキッチンカー需要が高まっています。また、たこ焼きやお好み焼きなどの「粉モノ文化」が発達しており、普段から屋台やキッチンカーの販売する軽食に親しんでいる地域とも言えます。

物価は東京と比べると安いため、キッチンカーや屋台に求められる単価も低い傾向にあります。特に粉モノにはライバルも多く、お客の目も厳しいため、”お得感”を味や価格で出していくことが必須です。

また、大都市における共通の傾向として、人気の場所・イベントが既存の業者ですでに埋まっていることも多く、商品やサービスにおける他社との差別化をはからないとすぐに淘汰されてしまうでしょう。

■大阪でキッチンカーを開業するメリット

・平日のランチタイム需要が大きい
・粉もの文化・屋台文化が発達しており、買い食いに対する抵抗感が少ない

■大阪でキッチンカーを開業するデメリット

・固定型店舗・キッチンカー問わず、ライバルが多い
・人気のある場所・イベントへの新規参入が難しい
・東京と比べると物価が安く、単価が低くなる

大阪でキッチンカーを開業する時に必要な資格

大阪でキッチンカー(移動販売)を開業するにあたって必要な資格・許可は、「食品衛生責任者」と「飲食店営業許可(営業許可)」の2つです。

■食品衛生責任者

キッチンカーは食品を取り扱う飲食店に分類されるため、開業にあたって最低1名、食品衛生責任者の資格を持つ人が必要です。資格を得るには、食品衛生協会で行っている講習を計6時間受講する必要があります。受講はオンラインでも可能なため、忙しい人でも取得しやすい資格です。受講料は自治体によって異なりますが、大阪府の場合、受講料は10,500円となっています。

■営業許可(府内一円)

キッチンカーの営業地の管轄保健所に飲食店としての営業許可を申請します。有効期限は5年間で、更新が必要です。営業許可は車ごとに取得します。必要書類は以下の通りで、キッチンカー完成の10日前までを目安に申請を行います。

大阪府のキッチンカー営業許可における必要書類

1.営業許可申請書・営業届出書1部(控えが必要な場合は2部)
2.施設図面2部
3.食品衛生責任者の資格を証明する書類(食品衛生責任者養成講習会修了証等。写し可)
4.自動車営業設備の概要2部
5.露店・自動車による営業に係る確認票 2部
6.一次加工所(仕込み)が必要な場合は加工施設の許可証の写し2部
7.自動車検査証(車検証)の写し2部
8.手数料16,000円(現金)
9.法人の場合は、登記事項証明書(写し可。確認後返却)

キッチンカーの営業許可は、営業予定地の管轄の保健所すべてで申請が必要ですが、大阪府は改正食品衛生法の施行以降、府内の自治体どこでも許可申請を行えば、大阪府内で営業できるようにルールが改正されました。ただし、兵庫県・京都府・奈良県など近隣県での営業を考えている場合は、その管轄の保健所にも営業許可の申請が必要です。

▼大阪府 「自動車及び露店による営業の取扱いについて」

▼大阪府 「食品営業許可申請(自動車営業)」

営業中の大型キッチンカー

画像素材:PIXTA


大阪でキッチンカーを開業する時に利用できる補助金は?

大阪府内で「キッチンカーの開業」に特化した補助金は、2024年8月現在、大阪府狭山市で実施している「大阪狭山市移動販売等導入事業補助金」のみとなっています。ただし、起業に使える補助金や、もしくはすでに事業を行っている場合は業態を転換するための補助金を利用できる可能性があります。

<大阪狭山市移動販売等導入事業補助金>

狭山市内で新たにキッチンカー又は移動販売車を導入して移動販売を実施する者(中小企業・個人事業主に限る)に対し、導入に係る経費の一部を補助する制度。

・補助上限額:30万円
・補助率:1/2以内
・補助対象経費:(1)車両購入費・改造費(キッチンカー等の購入、制作に要する経費)
※中古車の購入も対象 
(2) 設備導入経費(機械装置、工具・器具備品、その他附帯する費用)

▼大阪狭山市移動販売等導入事業補助金

<大阪府制度融資「開業サポート資金」>

府内での創業を促進するため、開業・スタートアップ応援を応援する融資制度。開業資金/地域支援ネットワーク型の二種類があり、融資上限額は3,500万円ですが、必要な資金総額の1/10の自己資金を有していることが融資を受ける条件になっています。

・融資上限額:3,500万円
・返済期間:10年以内
・金利1.2~1.4%(開業資金の場合)

▼大阪府制度融資「開業サポート資金」

以下は、国で実施している業態転換等で利用できる助成金です。

<事業再構築補助金>

事業再構築(新分野展開、業種・業態・事業転換、事業再編等)に取り組む中小企業等を支援するための制度で、申請には「認定経営革新等支援機関による事業計画の確認」や「付加価値額の向上(申請枠毎に異なる)」などを満たす必要があります。

「成長枠」、「グリーン成長枠」、「卒業促進枠」、「大規模賃金引上促進枠」、「産業構造転換枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」などさまざまな枠が用意されています。

・補助上限額:100万円~1.5億円(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・補助率:1/2~3/4(※申請枠や企業規模等によって異なる)
・補助対象経費:建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費等

▼事業再構築補助金

<ものづくり補助金>

革新的サービスや試作品の開発、生産プロセスの改善等を行う、中小企業等を支援するための制度です。「通常枠」、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」、「デジタル枠」、「グリーン枠」、「グローバル市場開拓枠」が設けられています。

基本要件として「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」、「事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高い」、「付加価値額を年率平均3%以上増加」を満たす3~5年の事業計画策定、実施する必要があります。

・補助上限額:100万円~4,000万円(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・補助率:1/2~2/3(※申請枠や従業員数等によって異なる)
・対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費等

▼ものづくり補助金

<小規模事業者持続化補助金>

小規模事業者等の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する補助金です。「通常枠」、「賃金引上げ枠」、「卒業枠」、「後継者支援枠」、「創業枠」などの枠があります。インボイス特例が設けられており、「免税事業者から適格請求書発行事業者への転換」などの要件を満たした事業者は、補助上限額が50万円上乗せされる制度です。

・補助上限額:通常枠=50万円、賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠=200万円(※インボイス特例適用事業者は50万円上乗せ)
・補助率:2/3(※賃金引上げ枠のうち、赤字事業者は3/4)
・補助対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費

▼小規模事業者持続化補助金

キッチンカーで接客中の女性店員

画像素材:PIXTA


競争相手の多い大阪のキッチンカー。差別化の方法は?

大阪でのキッチンカー開業は多くのリターンが期待できますが、既存の同業者との競争も激しいため、他社との差別化は必須の課題となります。ここでは、同業者との差別化できるポイントについて解説します。

■「土地柄」をよく理解する

たこ焼き・お好み焼きや、屋台文化が発達した大阪では、ローカル特有の流行や、許容される価格帯が違っています。出店地域をよく調査して、どのような品物をどれくらいの価格で提供すればよいかなど、よく研究してください。

■メニュー・サービスで差別化する

キッチンカーで差別化できる最大のポイントは、提供する商品です。その際の戦略にはさまざまなパターンが考えられますが、人気の定番メニューを扱うとしても、たとえばこだわりの材料を使用する、盛り付け方を工夫する、容器などのパッケージングにこだわる、トッピングが無料で選べる……など、さまざまな施策が考えられます。

■宣伝で差別化する

今の時代、たとえどんなに良いものを作っていても、知られなければ意味がありません。広告やチラシ、ウェブサイトを通じた告知はもちろんですが、InstagramやTikTokなど、ビジュアルが伝わるSNSを利用してバズを狙うといった戦略を行っているキッチンカーも多く、その中で目立つためにはどうしたらいいか考えて施策を行いましょう。

■見た目で差別化する

視覚情報で差別化すると、お客の目に留まりやすくなります。メニューの見た目を「映え」させるのはもちろんですが、キッチンカー自体のデザインや、メニューや値段が大きく掲載できるタペストリー、看板など、写真やデザインにこだわり、「どういった物が出てくるのか」をわかりやすく伝えましょう。

西日本を代表する都市「大阪」で、キッチンカーを開業しよう

大阪は西日本を代表する大都市でありながら、地方都市らしく人情あふれる町並みなども残っています。中心部では客単価の高い商品や、少々マニアックな商品でも受け入れられやすいと考えられますが、土地柄「安くてうまい」他店との競争も激しい場所です。

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