東京・埼玉を拠点としてキッチンカー「Chopi Rich〜ちょっぴリッチ〜」を専門で経営している、古田毅さん(41歳)。1年前にモビマルの開業セミナーに参加してくださったことがきっかけの一つとなり、キッチンカー事業をスタートしました。
古田さんに、キッチンカー事業を始めたきっかけやキッチンカーの魅力、将来の展望についてお聞きしました。
20代後半の時、将来の自身のために飲食業でゼロイチを経験(起業)したいと思った
飲食業には約12年いますが、その前は店舗の不動産や金融で営業職に就いていました。営業トップクラスが集まる会に参加したら、40〜50代になった時に会社をクビになったり倒産してしまったら嫌だと思い、自身で起業し、ゼロイチができるようになりたいと思いました。
そこで、起業している人が多く、比較的参入しやすい飲食業にチャレンジすることに。おいしくて個人的に通っていたハンバーグの業態の店舗が、「のれん分け制度」を実施していて、これを利用して独立しようと考えました。ところが、こちらのお店で飲食業に深く関わっていくうちに、のれん分け制度をやめて自分でイチから立ち上げたいという気持ちが込み上げてきました。その時に出会ったのがキッチンカーという営業スタイルです。
キッチンカーでの専門店が少なく、濃厚なのにヘルシーなスパイスカレーを販売
現在はバターチキンカレーを専門として、キッチンカーのみで販売しています。
当初はハンバーグをメニューに考えていたのですが、キッチンカーを一人で営業するため、仕込みから調理、販売までを担当するのは難しいと感じました。一人でやるならカレーかなと。
カレーについて調べていくうちに、バターチキンカレーの専門のキッチンカーが少なかったので、まずはこれで行こうと決めました。
コンセプトは、「大人のチキンカレー」。スパイスを効かせた濃厚な味わいですが、チキンの皮を取り除いたり、生姜を多く使い、後味をスッキリさせています。さらに、バターはグラスフェッドを使用しているので、カロリー低め。胃がもたれにくく、毎日食べていただけるカレーです。
キッチンカーで一番大変なことは「場所を確保すること」
キッチンカーでの販売を始めて感じることは、人通りが多く目立つ場所は売れますが、他の常連のキッチンカーに押さえられていて、残っている場所は人通りの少ない売れない場所が多いことです。売れる場所を確保するのは大変ですね。
まずは、あまり売れない場所をいくつも掛け持ちし、お客様を少しずつ増やしていくことから始めました。
営業を始めて気づいたことは、同じ商品を販売していても。場所によって求められるものが違うことです。
例えば、オフィス街では「そこそこ美味しいものを早く提供してほしい」、マンションなどの住居エリアでは「多少時間がかかっても美味しいものを食べたい」など。その場その場でのニーズを考えそれに沿ったメニューを提供することが今後の課題です。
キッチンカーの魅力の一つは「みんなの一体感」
キッチンカーでの移動販売事業は、自分自身がとても楽しく取り組めているのはもちろんですが、お客様が喜んでくださったり、イベントの主催者に感謝いただけた時など、みんなの一体感が感じられることが嬉しいですね。キッチンカーを通して、関わっている人たちの横のつながりがどんどん広がっていきます。
また、キッチンカーの出店者さんは、互いに協力し合おう、みんなで盛り上げようとする人が多い。わからないことを質問すると、なんでも答えてくれるし、解決しようとしてくれる姿勢が感じられて、とても嬉しい気持ちになります。
モビマル主催の地域創生イベントで、町おこしをキッチンカーでできることを体感
モビマルに登録をしたのは、モビマルの開業セミナーに参加したことがきっかけです。その時に「ただキッチンカーで物を売るだけではなく、キッチンカーを通して地域創生などさまざまな可能性がある」ということを聞き、ワクワクしたことを覚えています。
実際に、2022年5月にモビマル主催の小豆島の地域創生イベントに出店したのですが、イベント前は閑散としていた土地が、突如、地域住民や観光客のかたが参加して、笑いの絶えない憩いの場に様変わりしたことに感動。町おこしがキッチンカーでできるということを体感しました。
10日間のイベントでしたが、中には5日連続で来てくださる常連の方もいて、住民の方に喜んでくださっていることを感じました。地域の方の同窓会のような場になっていましたね。そしてキッチンカーの売上げにもその盛り上がりが反映されていて、イベントに関わる人がwin-winになっていることが素晴らしいと思いました。
今後もキッチンカーで社会課題を解決しつつ、地域や飲食業界、生産者などを盛り上げていけるよう私も力になっていきたいです。