名古屋を拠点に、たこ焼き店「ばん楽」を経営している、坂本謙太郎さん(37歳)。20代からたこ焼き屋をやりたいと思っていたという坂本さんが、目標の第一歩として選んだ業態は、キッチンカー(移動販売)でした。
キッチンカーでの事業を始めて、その後に固定店舗の開業に至った経緯や、キッチンカー事業の魅力、将来の展望についてお聞きしました。
独立するなら移動販売か固定店舗か
元々は企業向けのお弁当屋宅配企業で勤務していたのですが、20代半ばからたこ焼き屋をやりたいと思っていました。その理由は、たこ焼きが好きだから。たこ焼きが好きすぎて、名古屋から大阪までたこ焼きを食べるだけのために行ったこともあります(笑)。
32歳の時に会社を辞めて、いよいよ独立してたこ焼き屋をやろうとした時に、固定店舗か移動販売かで迷いました。調べていくうちに、固定店舗は好立地であることが重要で、家賃が高くなってしまうことが難点でしたが、移動販売は場所によって売り方や店構えを変えて試せることと、コストを押さえてスタートできることが魅力で、移動販売を選びました。
やると決めてすぐにキッチンカーを注文し、キッチンカーが完成する前にたこ焼き屋で修行。トータル半年で開業することができました。
キッチンカーの「見せ方」で売上が大きく変わる
キッチンカーでたこ焼きを販売し始めた最初の1年は苦労しました。
たこ焼きの生地にこだわり、出汁の配合を何度も試作を重ねて完成しました。
生地と焼き方にこだわった「ばん楽」のたこ焼き
開業当初と現在で味自体は変わらないものの、お店の見せ方で売り上げが全然違います。
キッチンカーでは、メニューにこだわることはもちろんのこと、タペストリーや看板など「見せる」努力が必要です。私自身、デザインを勉強して、自分でタペストリーを制作しました。
商品の魅力を伝えることは今も課題ですね。
商品の魅力をタペストリーや看板でどのように伝えるかは重要
また、たこ焼きは場所によっても売り上げが変動します。
例えば、オフィス街のランチ需要に合いませんが、スーパーの前だとよく売れます。これは実際にやってみて気づいたことです。
試行錯誤をしながらノウハウを蓄積していく感じですね。
固定店舗をオープンした時に感動した予想外のできごと
キッチンカーでは名古屋の中心から車で1時間ほどの場所でも定期的に出店をしています。
そちらでも定期的に出店をすることで、うちのたこ焼きのファンになってくださっている方がいて、毎回購入くださるのは嬉しいことです。
そして、もう一つ嬉しかったのは、2022年の始めに名古屋で固定店舗をオープンしたのですが、遠方からキッチンカーでたこ焼きを買ってくださっていたお客様が何人も来店してくださったことです。
お客様からお祝いの言葉をいただいた時は、これまでキッチンカー事業をしていてよかったと実感しました。いろいろなお客様との出会いがこれまでの財産になっていると思います。
同業者同士のつながりは、固定店舗にはないキッチンカーの魅力
現在はキッチンカーと固定店舗を両方経営していますが、固定店舗はできるだけスタッフに任せて、私は積極的にキッチンカーでさまざまな場所に出店しています。その理由は、キッチンカーならではの楽しみがあるからです。
通常、固定店舗では近隣のたこ焼き屋同士は競合にあたるため、交流がありません。しかし、イベントで出会う出店業者の方と仲良くなるにつれて、同業であるたこ焼き屋の方を紹介してくださることがあり、キッチンカーでの販売のノウハウなどを情報交換したりしています。
キッチンカー事業を盛り上げよう!お客さんに喜んでもらおう!といった同士のような関係ができるのは、飲食業界でモチベーションを高く保つことにも繋がりますし、良い刺激にもなっています。
モビマルには2021年2月に登録をし、直近ではモビマル主催の「キッチンカーグルメ万博2022」に出店しました。
万博ではモビマルのスタッフの方が、常に現場を良くしようと動いてくれているのが見えて、不安がなかったです。
現場をよく知る方がいてくださるのは心強いですね。
キッチンカーはいろんなチャレンジができる!
最後に、キッチンカーをこれから始める方に一言伝えるとすると、良い意味で、キッチンカーではいろいろと挑戦ができるので、どんどんチャレンジしてみてほしいと思います。
キッチンカーでいろいろと試してみて、最適なものを固定店舗で実践するという方法もありますので、失敗を恐れずにチャレンジしてほしいです。