大阪を拠点に、たまごサンド専門店「SHOW TIME」をキッチンカーで運営している蜜浦翔さん(24歳)。2022年4月からキッチンカー事業をスタートし、2023年2月からキッチンカーを2台に増やして営業を始めている、注目のキッチンカー事業者の1人です。
製造業で勤務していた蜜浦さんが飲食業に転身した理由や、キッチンカー事業を始めて気づいたこと、将来の展望について語っていただきました。
「とにかく独立したい」。その願いを叶えるキッチンカー事業
私が飲食業界で働こうと思ったのは2019年ごろ。それまでは製造業(電車の車輪を製造する仕事)に携わっていました。会社員生活を過ごしているうちに、やがて熱中できることや人生に刺激を求めるようになり、いつしか独立起業を志すようになりました。
父が飲食業をしていたということともあり、飲食業界へ。基礎を学ぶために、製菓・調理の専門学校「レコールバンタン 大阪校」に入学することにしました。最初は飲食店をオープンすることを目標にしていましたが、開業・運営資金、不動産契約など様々な要素を考えると、キッチンカー事業でスモールスタートした方が設備・資金的にも独立しやすいなと。在学中に開業準備を進め、卒業後にキッチンカー事業を始めました。
現場での経験を重ね、メニューは「厚焼きたまごサンド」に
キッチンカーでは、たまごサンド専門店として厚焼きたまごサンドを提供しています。もともとは喫茶店を開業したかったこともあり、喫茶店の業態に近い商品を作りたいと考えていました。
営業開始当初は、普通のたまごサンドじゃダメかと思い、「世界のタマゴサンド」というコンセプトで世界の卵料理をサンドイッチにして提供していました。ところが実際に営業をしてみると、仕込みが大変な上に、キッチンカーで売るには説明がかなり必要な商品なのでうまくいかず……。キッチンカーで販売するには、ある程度わかりやすさが必要であることを学び、「厚焼きたまごサンド」に落ち着きました。
厚焼きたまごサンド1本に集中したことで、商品にしっかりとこだわることができるようになりました。だし巻き卵サンドはよくありますが、出汁巻きは和食の料理なので、実は私はパンにはあまり合わないのではないかと思っていました。とはいえ、日本人は出汁の味が好き。そこで、生クリームなどの洋風の要素も入れつつ、日本人の好みに合う「たまごサンド専用の卵焼き」を開発し提供しています。
また、モビマルが共催している
日本の食まつりに出店する際は、このイベントの趣旨「大阪万博2025に向けて地域から大阪を盛り上げよう!」に合わせて、大阪産の卵「能勢おうはん」を使ったサンドを提供しています。
地元大阪のこだわり食材を使った商品を提供することで、お客様に生産者のことを知っていただく機会にもなるため大きな意義を感じています。
移動販売は飲食業界と思っていたが、そうではない
実際に移動販売を始めて驚いたのは、移動販売は意外と飲食業界とは言い切れないということ。
飲食店では、美味しいものを作り提供する、というイメージでしたが、キッチンカー事業では美味しいものを作るだけではなく、ブースの設営、イベントの趣旨や客層に沿った商品づくり、施設担当者や主催者とのコミュニケーションなど、イベント業の一部とも言うことができます。
様々な要素を踏まえて食を提供することは大変でもありますが、変数の多い環境で売り上げを上げることにやりがいを感じます。
また、最初は売上など自分のことだけを考えていましたが、お客様に「美味しかった!」「美味しかったのでまた来たよ」などお客様の声を直接いただけることは、売上以上に嬉しいことだと気づきました。
出店場所が変わるため、リピーターのお客さまの付きづらいのですが、その中でリピート購入してくださるお客さまがいらっしゃると、励みになりますね。
2店舗目のジンクスを打破して、将来は固定店舗も視野に
2023年2月からはキッチンカーを2台稼働開始しました!よく2店舗目は失敗するという飲食店のセオリーがありますが、それを打破したいです。将来的には、キッチンカーを5台まで増やし、私自身は現場から離れて固定店舗にも挑戦したいと考えています。
また、移動販売を始めてから、イベント業に触れることができたので、自分がキッチンカー事業者だからこそできるフェスを企画してみたいですね。
そして、私が卒業した専門学校であるレコールバンタンで、現在講師として生徒に教える機会をいただいています。将来の食を担う若手の育成にも力を入れたいです。
新しいことを始めると、さらに新しい景色が見えてくるので、これからもチャレンジし続けたいと思います。
SHOW TIME
http://showtime-wes.com/
https://www.instagram.com/w_eggsando/