大阪を拠点に、大阪産で唯一の純粋黑毛和牛「なにわ黑牛」を使用したメニューをキッチン カーで提供している、TORU TORU の高島透さん(27歳)。モビマル企画のイベントでは 売上が常に上位という人気のキッチンカー事業者のお一人です。 調理の専門学校を卒業してイタリア料理店で勤務していた高島さんがキッチンカー(移動 販売)で独立をすることになったきっかけや、なにわ黑牛との出会い、現在のお仕事の魅力 などについてお聞きしました。
調理専門学校を卒業後、有名イタリア料理店での勤務を経て独立
子どもの頃から料理に興味があり、大阪で調理の専門学校を卒業してから有名なイタリア 料理店に就職しました。 イタリア料理には日本料理と共通する部分があり、魅力を感じています。一つは素材の良さ を生かすこと、そして日本料理と同様に、イタリア料理にも郷土料理がたくさんあり、地域 それぞれの特徴があること。様々な地域のおいしさを文化とともに楽しんでいただきたい と考えています。
こちらの店舗で最初から 2 年間勤務し、移動販売の会社で 3 年間勤務、そして 2020 年 3 月 にキッチンカーで独立をしました。
キッチンカーでの独立をしようと思ったきっかけは、移動販売の会社に勤務していた時に、 キッチンカーの良いところを経験し、魅力を感じたから。移動販売をすることで、場所にと らわれずに様々なお客さまに出会えることや、食の PR 活動ができること、そしてその結 果、生産者を応援することもできることを知り、社会的意義も感じたことが決断のポイント でした。
「何でも屋」から「なにわ黑牛専門店」へ
独立した当初は、焼き鳥、唐揚げ、たこ焼きなどキッチンカーで何でも販売していました。 何でも取り扱えることはメリットでもありますが、自己紹介をするときに困ることも。「結 局何屋さんなの?」となり、仕事を依頼されにくいことを経験から学びました。
キッチンカーの提供メニューについて模索している時に出会ったのが、大阪産の唯一の黑 毛和牛「なにわ黑牛」です。
2021 年にモビマルが企画・運営する
「SDGs グルメ万博 2021 in りんくうプレミアム・ア ウトレット」に出店しました。
このイベントでは、大阪・泉州の特産物を使ったメニューをキッチンカーで提供し、地産地 消を訴求する企画でしたが、他のキッチンカーがなにわ黑牛を使った牛丼を提供していま した。そこで初めてなにわ黑牛のおいしさや飼育のこだわり、月 5 頭しか出荷されず市場 に出回らないという希少性について知りました。料理人としても、この素晴らしい食材をぜ ひ使いたい!と思いました。
そこでモビマルに生産者の方、仕入れ先を紹介していただき、それ以降は「なにわ黑牛専門 店」として、なにわ黑牛のおいしさを活かしたメニューを考え、提供しています。メニュー 数が多かった時と比べて仕込みも楽になり、限られたメニューに集中できるようになりま した。 なにわ黑牛は、大阪在住の方はもちろんのこと、全国の方にぜひ知っていただきたいです ね。
※なにわ黑牛
大阪唯一の『松田牧場』の黑毛和牛。雌牛 100%にこだわり、出荷まで通常 25 カ月のとこ ろ、30 カ月以上、⻑期肥育をおこない出荷しています。安心安全は、あたりまえ。こだわ りの飼料でストレスのない環境で育てています。月 5 頭しか出荷できない希少純粋黑毛和 牛。有名ホテルやミュシュラン店でご利用頂いている逸品です。
なにわ黑牛公式サイトより引用
出店者の中で一番を目指す
キッチンカー事業を始めた頃は、出店場所とお客さまのつかみ方のノウハウがなく難しか ったです。 出店場所を自身で探すと事務作業が大変だったのでやめて、出店者として販売に集中する
ことにしています。
お客さまをつかむためには、タペストリーも工夫しています。何を売っているかを分かりや すく見せるというよりも、「なぜうちで買うべきなのか」選ばれる価値を訴求するようにし ています。 最近はキッチンカー事業者が増えています。例えば、肉料理を提供する店が3店舗並んだ 時、選ぶ時点では味はお客さんは分かりません。その際にうちを選んでいただく理由を書く ように意識しています。
また、個人的には、これまで屋台の牛串を食べてもおいしいと思ったことがなかったんで す。値段が高い割には肉が硬いんですよね。ですので、お客さまの牛串へのイメージを変え たい!と考えています。実際に、なにわ黑牛をお召し上がりいただいたお客さまには「柔ら かくておいしい!」とおっしゃっていただけています。
お客さまの声がダイレクトに聞ける。生産者と消費者の架け橋になれる
キッチンカーの魅力は、調理から接客まで全てやるのでお客さまの様子がダイレクトに伝 わること。地方に行っておいしいとお客さまにおっしゃっていただけると、嬉しくて生産者 の方に連絡をしています。「こういうお声をいただけたのは生産者のおかげです!」と。 生産者の方は、消費者が食べている時の反応を見ることができないので、消費者との架け橋 になりたいですね。そうすれば生産者のモチベーションの向上にも貢献できるのではと考えています。
食のプロである意識を高めて、移動販売事業者の社会的地位を上げていきたい
モビマルでは、SDGs グルメ万博に今年も出店しましたし、「日本の食まつり」にも参加し ました。 単なるフェスやイベントではなく、テーマのあるものをこれからも開催してほしいです。 きちんと手間暇をかけて良いものを提供している人が、正当に利益を得られるような業界 になってほしいですね。
また、移動販売事業者の地位を上げたいと考えています。 移動販売も飲食事業の一つであり、食を提供するプロであるべきです。 キッチンカーの食事を「こんなにおいしいものが食べられるんだ!」とお客さまに思ってい ただけるようにイメージを変えていきたいですね。